レクサスとはトヨタが展開するプレミアムブランドです。「何をいまさら……」と突っ込まれそうですが、輸入車だと思っている方が意外と少なくないのです。
たしかにレクサスのラインナップには、トヨタのそれとは違い、輸入車な雰囲気がある。そう思わせるのは、クルマ自体に「レクサス」としての一本軸がバシッと貫かれているからでしょう。
ただ、それもここ数年の出来事。2012年に“Grand Touring Sedan”の頭文字をとった中型セダン「GS」のフルモデルチェンジを機に、いよいよレクサスらしさ作りに本腰が入ったのです。
その象徴が、次世代レクサスの共通アイデンティティとして提示されたスピンドルグリル。新モデルはもちろん、既存モデルにも徐々に与えられたのですが、従来のニッポンの高級車と比べると少々刺激が強かったのでしょう。「この顔じゃなければ買うんだけどなぁ」という声が必ずあがりました。
ただ、マイナーチェンジ後の「GS」では、開口幅が広がり、メッキで縁取られ、グリル内のバーは上下で色を分けるなど、より強烈になりました。
まず顔に目がいき、次いで4880×1840×1455mm(全長×全幅×全高)の立派なプロポーションへ目線が移っていく流れがあり、高級感と躍動感が伝わりやすい。実際、運転しているときに周りからの視線を浴びる場面は多かったです。
スピンドル第一号の「GS」がこの路線を強調したことからも、新しい顔を巡る論争の決着はいよいよ近いのかもしれません。
ルックスと同じく、インテリアでもレクサスらしさの着地点を定めた感じがします。そう感じたのは室内に身体を収めた瞬間でした。
本革や新開発のレーザーカット本杢パネルで仕立てられた品の良い空間には、新たに12.3インチワイドディスプレイが備わり、センターコンソールに設置されたリモートコントロールでスムーズな操作が可能…と、高級感と先進性を演出するのは高級車の定石通り。
また、初試乗なのに長年付き合ってきた愛車のようにスッと手に馴染む感覚もありました。分かりやすいアイコン、別個に設けられたリモートコントロールのENTERとBACKボタン、さらにはヘッドアップディスプレイ。
これらのおかげで、欲しい情報の把握と行ないたい操作をスムーズにこなすことができました。きめ細かい配慮に日本の名品ならではのセンスを感じます。