改めてRSの特徴を見てみると、まずは走りフったクルマにはよく採用される、ビルシュタインのダンパーが目を引きます。径(ダンパーそのものの太さ)が大きく、内部容量が大きくなるため長時間の走行でも中のオイルが高温になりにくいとか、ダンパーそのものの剛性が増えて足回りがシッカリするとか言われるますが、一番美味しいのは乗り心地の当たりをガツンとさせずに硬める事ができる点にあるのではないでしょうか。
その辺の秘密は、ダンピングを発生させるための中にあるシムと呼ぶ部品の調整幅が広く、ゆっくりした動きから速い動きまでを自在にコントロールできる点にもあるでしょう。もっとも、その代わりセッティングするほうはそれなりに工数がかかってしまうことを覚悟しなければならないそうです。
そして、これまたスポーティ上級グレードにありがちなレカロシート。以前はブランドが先走りしすぎていた感もありましたが、どんなクルマにも装着するだけで車格がワングレードアップするのは座り心地とシッカリ感が確実にアップするからでしょう。
その乗り心地のよさとホールド感、さらに長距離を走った際の疲労の少なさは、てっきり全体で面圧を受けるところにあるんだろうと思っていたんですが、それだけではないようです。その身体を支える部位が、まっすぐ走っていてもコーナリング中でもズレないことに起因しているんだそうです。やはり、シートは奥が深そうです。
さらにこのシートにはシートヒーターも組み込んであります。これはオープンカーには必須と個人的に感じております。
それから、スポーツドライビングには必須とも言える大径ローターのブレーキ。特に変哲のないように見えるキャリパーですがきちんと剛性と軽量を両立したものだと言います。
このブレーキの大径化は絶対的な制動力やコントロール性もあるでしょうが、連続したブレーキングでブレーキシステムが高温になることを防ぐのが最大のメリットのようです。
と、いろいろな部分でグレードアップ、よりハードな走行に耐えるような進化が見られるのがRSということになります。
そういった基礎知識を持ってロードスターRSを眺めてみます。外観からは特にここと言って変わっているようには感じません。幌を開けているとシートが違うな、というのが目に付きます。
ブレーキに関しても、ホイールから覗くブレーキローターの径が大きくなっているのも、比べてみればわからなくもありませんが、一般的には「ほとんど一緒」の範疇でしょう。
というのも、ブレーキキャリパーもほぼ同じ形をしているんですが、これはノーマル状態から強度、剛性、重量を考慮した形状となっていて、そのまま引き継いだそう。あえて、見た目の装飾には走らなかった、ということでしょう。外観に大幅な変化をもたらしていないのは、意図的とも言えるかもしれません。
でも、スポーツカーは走ってなんぼ、次回はいよいよRSに乗ってみます。
(文・写真:clicccar編集長 小林 和久)
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