かつて、高出力ターボエンジンが、ドッカンターボと呼ばれるいきなり力を出す特性になりがちだったのは、様々な要素をフルパワー時に合わせる必要があったからですが、いまやバルブリフト量やバルブタイミング、ブースト圧などを細かに制御することができるようになりました。
新型シビックタイプRのK20C型エンジンでいえば、排気側カムに可変バルブリフト機構「VTEC」を搭載、吸排気カムに連続可変バルブタイミング機構「VTC」を備えています。さらに、レスポンス重視で小ぶりとしたターボチャージャーのブースト管理は電動ウエストゲートが行なうもとのなっています。
こうしたメカニズムを複合的に活用することで、全域においてレスポンスとパワーを両立することができたといいます。たとえば、低回転域では、排気側をローカムとしてバルブオーバーラップを大きくするようにして、ターボ過給圧を素早く高めていますし、全開出力時には排気側をハイカムとしてオーバーラップを減らす方向のバルブタイミングにするといいます。
結果として、アクセルペダルを踏み込めば、ほとんど遅れが気になることなくブースト圧が立ち上がる、レスポンシブルなターボエンジンとなっています。さらに、ハイパワー領域だけでなく、低速域での気持ちよさも味わえるという、新世代のタイプRに仕上がったというわけです。
●シビックタイプR主要スペック
車両型式:DBA-FK2
全長:4390mm
全幅:1880mm
全高:1460mm
ホイールベース:2600mm
最低地上高:125mm
車両重量:1380kg
乗車定員:4名
エンジン型式:K20C
エンジン形式:直列4気筒ガソリン直噴ターボ
総排気量:1995cc
最高出力:228kW(310PS)/6500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kg-m)/2500-4500rpm
変速装置:6速MT
燃料消費率:13.0km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:235/35ZR19 91Y
メーカー希望小売価格:428万円
(写真・文 山本晋也)