VWがディーゼル車の燃費優先で環境対応を軽視か?

今年4月、20年以上に渡ってVWを仕切って来たフェルディナント・ピエヒ会長が、マルティン・ヴィンターコーン社長の任期延長に懸念を示したことから社内で孤立、辞任に追い込まれたかと思えば、今度は社長自身が辞任せざるを得ない事態になるなど、何かと同社を巡る動きが慌しくなっています。

VW_2.0_TDI(出展 VW)

今回米国で摘発されたディーゼル車の排出ガステストを不正にクリアする違法ソフトウェア「ディフィートデバイス(Defeat Device:無効化装置)」が組み込まれていたのは「EA189型TDI」(2.0L直列4気筒ターボディーゼル)エンジンを搭載したゴルフやジェッタなどの2009-2015年モデル。

排ガス不正問題についてVWのヴィンターコーン社長は22日に発表した動画声明で、「顧客の信頼を裏切ったことを深くお詫びする」と謝罪の意を表明しました。

今回VWが新車に組込んでいた不正ソフトは、アクセルの動きやスロットル開度などの情報から「排ガス試験中」であることを検知して、浄化システムにより排出ガス中の有害物質「NOx(窒素酸化物)」を低減させるもので、逆に走行時には浄化機能を稼動させない仕組み。

その影響で、米国EPA(環境保護局)によればNOx値が最大で米排出ガス基準の40倍に達していたと言います。

ではVWは何を目的にこんな仕組みを導入したのでしょうか。

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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