軽快感と安定感を両立した新型アウディTTはハイレベルな走り

アウディTTに限らず、新車の導入時は高い仕様が売れる傾向にあり、初期受注では4WDのクワトロとTTSで約6割を占めているそうです。もう少しすると、FFのTTクーペ 2.0 TFISも比率を高めるかもしれません。

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まずは、TTクーペ 2.0 TFIS quattroの走りの印象をお届けします。2つの台風の影響により関東地方に大雨をもたらした試乗日は、雨で前が見えにくいほどの悪条件で、場所によっては道路に大きな水たまりができ、川のような状態になっている場所もあるほど。

試乗時間も条件も含めてかなり限られたものになってしまいましたが、新型アウディTTの実力を垣間見ることはできました。

やや軽めのパワステとアクセルペダルの印象は、アウディらしいもので、230ps/4500-6200rpm、370Nm/1600-4300rpmというスペックを誇る2.0Lの直列4気筒ターボは、街中でも雨の中でも扱いやすく、デュアルクラッチトランスミッションの6速Sトロニックは極低速域でもスムーズで、駐車時にギクシャクするような様子はほとんど感じられません。

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動力性能が決してもの足らないわけではなく、「ドライブセレクト」を「オート」もしは省燃費モードの「エフィシェンシ」にしていても踏めば即座にトルクが立ち上がり、高速道路ではパンチの効いた伸びやかな加速で痛快な走りが楽しめます。

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さらに「ダイナミック」に入れると、エンジンが高回転に張り付き、勇ましい吸気音がスポーティムードを高めてくれますが、やや人工的な味付けもしますから演出されたものかもしれません。

ただし、当日は雨をたたく音の水しぶきなどによるロードノイズなどが大きく、静粛性の高さは間違いないものの、あまりの悪条件だったため遮音を含めた音に関しても好天時に確認したいところ。

そんな条件で高速道路を走っても運転が上手くなったように思えるライントレース性の高さ、そしてクワトロならではの圧倒的なスタビリティは当然ながら公道では破綻の気配すら皆無で、ヒタヒタと正確無比に走る様子からはピュアスポーツカーでありつつも、どこかGT(グランドツーリング)的な雰囲気が伝わってきます。

決して退屈なわけではないですが、誰もが腕に応じて楽しく走れる。切れ味の鋭さが身上のポルシェ・ケイマンやBMW Z4とはひと味違ったスポーツモデルの魅力があります。

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ほかにも、思いのほか乗り心地が良く、アルミと高張力鋼板によるコンポジットボディはボディの剛性感も高く、今回は乗る機会がありませんでしたがロードスターの仕上がりも期待できるところです。

■新型アウディTTは必ずメーターに釘付けになる!?
https://clicccar.com/2015/09/11/326361/

 (文/塚田勝弘 写真/小林和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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