今回の試乗は、大型リヤウイングが目を惹くWRX STIのタイプS。先代のものよりも約0.5kg軽量化されています。
先述したように、6月の一部改良で、スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援機能)、サイドビューモニター、ハイビームアシスト、アイサイトアシストモニターといった先進安全装備をメーカーオプションとして用意しています。
個人的な話で恐縮ですが、現行のWRX STIには、デビュー時の富士スピードウェイ、その後2回ほど公道を走る機会がありました。どんなステージでもキレキレのハンドリングや重心の低いフットワークを披露してくれます。
WRX STIは、車体骨格に剛性と衝突安全性の向上のため、17.7kg増となる補強が行われているそうですが、エンジンフードやフェンダーパネルなどで23.1kgもの軽量化を実施、結果的に先代よりも約5.4kg軽くなっているそうです。
軽量化には、590Mpa以上というハイテン(高張力鋼板)の使用が効いているはずですが、軽自動車のホンダN-BOXがサイドパネルに590Mpaを使うなど、驚くほどの高張力鋼板ではありません。
また、WRX STIのボンネットを開けると分かりますが、アルミも使われているそうで9.8kgの軽量化を実現したそう。
しかし、アルミ(合金)のヤング率は鉄の約1/3程度しかありませんから、アルミを多用すれば軽くなるものの、剛性確保との兼ね合いも出てきます。
先述したように、WRX STIの軽快なフットワークは、テキトーなステアリング操作を許さないほど過敏で、もちろんライントレース性の高さも目を見張るものがあります。
そのため、フットワークに影響するフロントの剛性(横曲げ剛性)をアップさせるため、フロントバルクヘッドとフロントピラーおよび、フロントピラーとサイドシルの接合部を強化し、剛性は約26%アップを果たしています。
乗り心地に関しては、シビックタイプRのような強烈な硬さではなく、足もよく動いているように感じますが、腰痛持ちの私には長時間の乗車は厳しいかな、という印象。ファミリーユースや腰痛に良さそうなのは、乗り心地を改善したというS4のGT系かもしれません。
なお、現行のWRX STIは乗り心地向上を狙って、リヤフロアまわりの骨格を強化し、ねじり剛性を約46%高めているとのこと。
リヤまわりの強化は、ジャンルこそ違いますが、フィットをベースにワゴン化したフィットシャトルの大きなテーマで、フィットよりもワゴンのシャトルの方が乗り心地はいいことからも効果は大きいようです(もちろん全体のバランスを見た上ですが)。
■スバルWRX S4/STIが一部改良、最新の安全装備「アドバンスドセイフティパッケージ」を設定
https://clicccar.com/2015/06/30/313792/
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)