改良されたレヴォーグに試乗、スバル最良のバランスを実感

試乗車には、乗り心地を向上させたという標準グレードから、1.6リッターのダウンサイジング直噴ターボエンジンを積む、1.6GT EyeSightをチョイスしました。

レヴォーグとしてはエントリーグレードになりますが、全車ターボエンジンのプレミアム系スポーツツアラーモデルだけに廉価版といった雰囲気は微塵もありません。

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サスペンションの改良について、スバルは次のように表現しています。

フリクションを最適化した新ダンパーを採用。作動時のフリクション変動を抑えることで、微小なストロークでもダンパーの減衰力が働くようにし、路面の凸凹を乗り越えた際の振動を抑え、乗り心地を向上させました。

ダンパーのフリクション(抵抗)というと小さいほど優位と思いがちですが、新しいダンパーではむしろフリクションは増やす方向での最適化だといいます。具体的には、オイルシールなどを変更しているそうです。

それにより、従来のダンパー内部でオイル内をピストンが動いて減衰力を生み出すまでに感じられていた、わずかなタイムラグ感を改善したのだといいます。

つまり、あらゆるシーンにおいて、ドライバーの感性に合ったタイミングで減衰力を発生させるようなフットワークになっていることが期待できるわけです。

燃費とハンドリングのバランスから選定されたという、215/50R17サイズのタイヤは、もともとアタリの硬い印象はありませんが、それなりに荒れた路面もある市街地において日常領域で気になる乗り心地の悪さは皆無といっていいほどの快適性を実現しています。

舗装路によってはタイヤ由来のノイズは少々気になることもありますが、アプライドBにおいて後席周辺に制振材や吸音材を増やしたという効果は、ドライバーズシートでも体感できるもの。年改において、見た目は変わっていませんが、スポーツツアラーでありながら、高級感を増したと感じられる進化を遂げているのです。

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レヴォーグの1.6リッターエンジンは2.5リッターNAダウンサイジングを目指したもので、300馬力級の2.0リッターターボと比べればパフォーマンス的に突出したキャラクターではありませんが、無段変速のリニアトロニック(CVT)とのマッチングもよく、広い回転域においてフラットで、レスポンスにすぐれたトルク感を味わうことができるパワートレイン。そのほどほどのパワーも、乗り心地を向上させたシャシーとフィットしています。

快適性につながるNVH(騒音・振動・ハーシュネス)を着実に改良した新しいレヴォーグは、現時点でスバル最良のバランスを日常的に感じることのできるモデルに仕上がっていると感じられたのです。 

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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