インプレッサハイブリッドをホンダのハイブリッドと比べてみると?

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それぞれディスプレイに表示されるエンジンとモーター、バッテリー間のエネルギーフローを眺めていると、加速時にモーターアシストが入るという点ではインサイトとインプレッサハイブリッドは似ているわけですが、体感的にはアシストを含めたトルクの出方に大きな違いがあるのです。

アクセルペダルをそれなりに踏み込む必要のあるキツ目の登り坂といったシチュエーションで、そうした違いは明確になってきます。

生まれた時代や車格の違いもありますが、インサイトはいかにも小排気量エンジン+CVTらしいキャラクターで、エンジン回転を高めで一定をキープしながら変速比を変えることで切れ目のない加速をしていきます。その中で、さらにアクセルペダルを踏み込むと、モーターアシストの大小が変わるといった振る舞いを基本としています。

最高出力65kW、最大トルク121Nmという1.3リッターエンジンに10kWのモーターを加えたインサイトは、CVTの特性を活かしてトルクの大きな領域をキープできる のですが、そこにモーターアシストが入るので、じつは体感トルクとしては波を感じてしまいます。

一方、110kW、196Nmのスペックとなる2.0リッターエンジンに、10kWのモーターをプラスしたインプレッサ ハイブリッドは、排気量の余裕を活かしています。エンジンのスイートスポットを維持する変速比ではなく、車速の伸びとエンジン回転がリンクしつつ、シームレスなフィーリングが味わえる変速具合になっているのです。

しかもエンジンの出力に対して、モーターアシストの比率が小さくなっている上に、そのアシストも薄く長くといった印象を受けるもので、スーッとなめらかで伸びるような加速につながっています。エンジンのトルクにあるわずかな波さえもモーターで均しているような印象も受けます。 加速感でいえば、小さめのターボチャージャーを使ったダウンサイジングターボにも似ていますが、トルク感のスムースさでは過給エンジンとも、大排気量NAとも異なる、マイルドさを感じさせるのです。

あらゆるシーンで『乗りやすいインプレッサを作る』というを開発テーマとしたインプレッサ ハイブリッド。燃費性能よりもドライバビリティを重視したという上級指向は、なるほど坂道での加速に感じることができました。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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