プロペラシャフトで前後に駆動を振り分けるやり方は内燃機関のAWDと同様ですが、ハイブリッド(電動車両)では前後の駆動系を切り離すことも可能になります。
そうしたプロペラシャフトを持たないハイブリッドAWDも、すでに珍しい存在ではありません。
トヨタ、レクサスでいえばハリアーやRX450hといったエンジン横置きSUVハイブリッドやヴェルファイアなどのLサイズミニバンが、フロント2モーター+リヤ1モーターの前後がセパレートしたハイブリッドAWDシステムを採用しているのです。このシステムは燃費性能にも優れているのが特筆すべき点で、2.5リッター4気筒エンジンのハリアーハイブリッドで21.4~21.8km/Lとなっています。
プラグインハイブリッドの三菱アウトランダーPHEVも、同様にフロント2モーター、リヤ1モーターのハイブリッドAWD。大容量リチウムイオン電池に外部充電することで60.8kmもガソリンを使わないEV走行できるというのも、アウトランダーPHEVの特徴です。
いずれも、プロペラシャフトを持たないことでフロアをフラットにできたり、大型バッテリーを積めたりできるシステム。シャフトやディファレンシャル相当の軽量化もできるというAWDは、ハイブリッドらしい特徴といえるでしょう。
変わり種といえるのは、フロント1モーター+リヤ2モーターを採用するホンダ・レジェンドです。
『SH-AWD』と呼ばれるシステムのキーデバイスとなる後輪駆動モーターは左右独立したもので、燃費性能はもちろんですが、圧倒的な旋回性能を実現するためのハイブリッドAWDなのです。
このようにハイブリッドAWDといっても、狙いや種類は様々。基本的には、エンジン排気量・気筒数やモーター個数が少ない方が価格が上がらない傾向にありますが、逆にいえばハイブリッドらしい先進性という点ではモーター個数が多いほど味わえるといえそうです。
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(山本晋也)