【ギョーカイ先走り03】トヨタ86にセダンはなぜ出てこないのか?? オープンは???

久々のFRスポーツとして登場したトヨタ86&スバルBRZ。発売から4年が経過し、来年にはビッグマイナーチェンジの実施が予定されています。スバル流の年次改良もあって、少しずつ、しかし確実に熟成されていて、スポーツカーの命であるハンドリングもしっかりとレベルアップしています。 

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このFRのプラットフォームを生かして、他のボディを与えて、新たなスポーツカーファミリーが誕生するのではないか、というウワサもありました。4ドアセダンやスポーツワゴン、そしてSUVなど、86&BRZのスポーティなハンドリングを受け継いだ発展形が期待されていたのです。しかし未だに、そうしたボディは登場していません。

もっとも注目されていたのは86&BRZセダンだったと思います。スポーツカーをベースにした、ホンモノのスポーツセダンというコンセプトになります。4ドアボディで快適に4人が乗れるスペースがあれば、もっと多くの人がFRスポーツを楽しむことを考えるようになるかもしれません。

しかし現実には困難な部分が多かったようです。

まずリヤシートのスペースを拡大するためには、ホイールベースを伸ばさなければなりません。低重心の追求を徹底的にやってきた86&BRZは、低いポジションが与えられていて、スペースを得るには、より長いホイールベースが必要になります。ホイールベースが伸びれば当然ボディは長くなり、それは車両重量を増やしてしまいます。

軽量であるというのも86&BRZの生命線ともいえます。重くなってしまうとエンジンパワーを上げなければならなくなります。排気量を2.5Lにするか、あるいはターボを搭載するのか?? どちらにしても86&BRZから離れていってしまいます。

ホイールベースを伸ばせば、ハンドリングにも影響が出てしまうので、少しボディを高くしてスペースを捻出しましょうか。低重心という設計思想が少し薄くなってしまいますが、リヤシートの快適性は大きく向上することでしょう。

しかし、やればやるほど、スバルWRXに近づいていってしまうような気がしませんか??

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スポーツカーにはスポーツカーの流儀があります。古くからスポーツカーには、発展型のボディがあります。それが2ドアのスポーツワゴン、シューティングブレークというスタイルです。

フロント部分からドアまでのボディはそのまま流用して、ボディ後半を作り直すことで作ります。ルーフを伸ばして、後ろに小さなハッチバックを与えます。コンパクトなキャビンの流れを生かすので、それほど大きなスペースは得られません。ワゴンといっても、引っ越しができるようなものではありません。

そもそもシューティングブレークとは、狩猟用のワゴンという意味です。猟犬と猟銃を積んで狩猟に出かける、そんなお金持ちのためのクルマだったのです。一般的にシューティングブレークは、コーチビルダーと呼ばれるボディの改造屋さんが、スポーツカーをベースに作り上げます。そのベースモデルは、ジャガーやアストンマーチン、あるいはフェラーリといったスーパーカーだったのです。

ボディ後半に重量が増えるとはいえ、スポーツカーとしての素性は保ったままです。運転している時は、ベースモデルと何ら変わるものではないかもしれません。まさに86&BRZの発展形として、ピッタリのボディスタイルではないでしょうか。

今現在買える市販モデルとしては、VWシロッコがまさにシューティングブレークです。VWのスポーツカーであり、ベースとなるクーペボディはありませんが、強烈に絞ったキャビン後半のデザインは質実剛健なVWのイメージを超越して、とてもセクシーです。

86&BRZのシューティングブレークを連想させるのは、スバルが前回の東京モーターショーに参考出品した、クロススポーツデザインコンセプトです。ワゴン化しただけでなく、スバルらしいSUVテイストも盛り込んでしまったので、スポーツカーから少し雰囲気が変わってしまっていますけど……。 

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しかし、忘れてはいけません。スポーツカーの定石であるオープンモデルが、未だ登場していませんでした。すでにモーターショーなどでも86オープンコンセプトが紹介されており、その完成度は十分。

そもそも86&BRZは、低重心を狙うためにボディの剛性確保をフロア周りで行っています。そのため屋根を切っても、ボディ剛性の低下は比較的小さいと想定されます。ソフトトップの収納スペースを確保するため、リヤシートは完全に形だけの状態で、荷物を置く場所になっています。そうした割り切りが、ボディ剛性の低下を小さくし、ソフトトップを上げた時のスタイリッシュなデザインにつながっています。

すでに開発は完了していると言われている86オープン。重くなる分を2.5L化で帳尻を合わせて、ゆったりと走ることもできるクルマに仕上げてもらいたい、と思うのですが。

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 (岡村神弥)