注目の360°衝突回避システムは、自車位置と周囲の環境を確実に検知することを基礎とし、実験車両であるBMW i3では、最新式レーザー・スキャナー4つで周囲の状況を検知。
自走式の立体駐車場内では、柱などの障害物を高い信頼性で認識するそうで、車両が壁や柱に接近する際の速度が大きすぎると、自動的にブレーキを作動させて衝突を回避。
車両はcm単位の精度で停止が可能だそうで、ドライバーがステアリングを操作して障害物を避けるか、あるいは方向転換をすればブレーキは解除されます。
同機能により、見通しの悪い環境でのドライバーの負担が軽減され、安全性と快適性が向上するとしていますが、この実験的機能は、BMWのすべての運転支援システムと同様にドライバーによる操作が常に優先される設計になっています。
日産も運転操作が不要な自動駐車の実現を目指していますが、BMW i3に装備されたシステム「フル・オート・リモート・ヴァレー・パーキング・アシスタント」は、レーザー・スキャナーからの情報と建物(立体駐車場など)のデジタル配置図とを組み合わせたもので、ドライバーがスマートウォッチで「パーキング・アシスタント」を起動すれば、クルマを降りてもシステムが自動的に車両を操縦して指定の階に移動させることができます。
同機能は、駐車場の構造を認識するだけでなく、例えば正しい位置に駐車していない車両などの想定外の障害物も車載のセンサーで検知し、確実に回避することが可能。
さらに、BMW i3が駐車位置に到着すると自動でロックし、スマートウォッチからの音声コマンドや命令を待つ態勢になります。また、ドライバーが駐車場に到着する時刻を正確に計算し、所定の時刻に駐車場の出口を通過できるようにBMW i3を始動させることもできます。
この技術はGPS信号に頼らないのも特徴で、実験車両にはレーザー・センサーのほかに情報処理ユニットと必要なアルゴリズムが搭載されていて、駐車場内の自車位置を正確に把握し、周囲の状況を完璧にモニターして全自動ナビゲーションを実現。
駐車場など低速時の事故は思いのほか多く、物損だけでなく死傷事故につながるケースもあるだけにこうした高精度の自動駐車システムの実現も自動運転には欠かせない要素になりそうです。
(塚田勝弘)