太っ腹!? トヨタが燃料電池関連の特許実施権を無償提供する狙いとは?

1月6日、トヨタは「FCVの普及に向けた取り組みの一環として、同社が単独で保有している世界で約5,680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供する」と発表しました。

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テスラがEV関連の特許を開放するというニュースを思い起こさせますが、今回の発表は「FCV導入初期段階においては普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であるとの考えに基づくもの」としています。

労力と時間をかけて苦労して取得し、また大企業に不可欠であるはずの特許の「特許実施権無償提供」に踏み切るトヨタのFCV普及にかける意気込みのほどがうかがえます。

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具体的な内容としては、燃料電池スタック(約1,970件)、高圧水素タンク(約290件)、燃料電池システム制御(約 3,350件)といったFCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連を活用してFCVの製造、販売を実施する場合は、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償化。

また、水素供給、製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置、運営を行う際の特許実施権は、期間を限定せずに無償とするとのこと。

これらの特許実施は、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様、トヨタに申込をして、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結する予定だそうです。

EVと比べられることの多いFCVですが、EVは航続可能距離や充電時間の長さなど、FCVは車両価格やインフラ整備などそれぞれ課題を抱えています。今回のトヨタの決断によりどれだけFCVの普及に貢献できるか注目です。

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(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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