新型レガシィがエンジンの80%を新造した3つの理由

 

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一見するとキャリーオーバーにも見える2.5リッターガソリンエンジンを、ここまで進化させることができたのには、3つの理由があります。

1.グローバルエンジンだから

新型レガシィ・アウトバックは世界中で販売されます。日本国内向けは2.5リッターガソリンエンジンだけですが、北米仕様には6気筒エンジンがあったり、中国向けには直噴ターボを用意したり、そして欧州にはディーゼルがラインナップされる予定になっています。そうしたグローバルモデルに共通するのが、2.5リッターガソリンエンジンということで、それだけ開発リソースを割くことができたのです。

2.燃費性能を向上させるため

いまやグローバルに燃費性能は重視されます。日本や欧州の測定モードは停止時間があるのでアイドリングストップやオルターネーターによるエネルギー回生は効果的ですが、レガシィ・アウトバックが主戦場としているアメリカ市場では、主にハイウェイモードでの燃費性能が求められるといいます。つまり走り続けているときの燃費性能を上げなくてはいけないのです。そのためには燃焼効率の改善が重要で、ヘッドといった大物パーツを新造する必要があったというわけです。

3.車格にふさわしい静粛性を求めて

スバルのフラッグシップモデルとなるレガシィ・アウトバック。フロントフードを開けるとわかりますが、エンジンカバーなどはついていません。つまり、エンジン自体の改良によって車格にふさわしい静粛性を実現したということです。そのためにオルターネータープーリーを小径化して補機ベルトの駆動音を小さくするといった工夫までなされています。ピストンの重心位置最適化も静粛性向上のためということ。静かな水平対向エンジンを実現するために部品の大幅な変更が必要だったといいます。

そもそも開発当初は8割ものパーツを変える予定はなかったというレガシィ・アウトバック。現代のクルマに求められる燃費、フラッグシップらしい静粛性を追求していく中で、予想以上の設計変更が必要になってしまった結果として、これほどまでに新造パーツを使うことになってしまったということなのです。

 

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(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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