スバルの新型アウトバックを公道試乗。キレキレの走りが舗装路で光る

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新型レガシィにおいて、2.5リッター自然吸気エンジン一本の設定で、ターボが用意されないことを残念に思う向きもあるでしょうが、もともとアウトバックは2.5リッターが中心の構成でしたから、エンジンスペックが見劣りするといったネガ要素はないといえます。もっとも、先代では用意されていた水平対向6気筒エンジンが国内仕様から消滅したのは寂しい感じもありますが、実際にはほとんど売れていなかったといいます。つまり、アウトバックを旧型から乗り換えるユーザーの多くにとって、この2.5リッターエンジンは馴染み深いものといえそうです。

しかし、『FB25』という型式こそ変わっていないものの、約8割の部品を新造したという、まさに新生2.5リッターエンジンになっているのが特徴です。基本的には走行中の燃費改善を目的に、低回転時の燃焼効率向上をターゲットにしたエンジン改良といいますが、それだけでなくドライビング時の加速性能にも進化が感じられるものとなっています。さすがに大径タイヤとの組み合わせですから出足が俊敏ということはありませんが、そこからの加速は不満を覚えるものではなく、上り坂での力不足を感じることもなく、フラッグシップとして十分なパフォーマンスとなっています。

さらに、新型アウトバックではハンドリングの改善が注目点。旧型では16:1だったステアリングギア比を、14:1とクイックにした上に、サスペンションではフロント・ロアアームの設計変更、リヤのキャンバー変更などにより、明らかにキレのあるハンドリングとなっています。

それなりに車高があり、タイヤも60扁平ですからスポーツセダンのような走りをするわけではありませんが、少なくとも初期応答性に関しては、スポーツセダン並といえるフィーリング。これであれば大きなボディサイズを好んで、旧型レガシィ・ツーリングワゴンから乗り換えたユーザーであってもダルさを感じるようなことはなさそうです。

CAE解析技術の進化などにより、従来モデルに対して67%もねじり剛性をアップさせたモノコックボディがハンドリング向上に効いていることも見逃すわけにはいきません。

 

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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