ノーベル賞で話題の青色LEDが実はEVの充電に影響するかも!

日本人3人が2014年ノーベル物理学賞を受賞して、TVや新聞では青色LEDが生活に身近なところで大きく役立っていることを取り上げています。

自動車の分野で青色LEDの技術が期待されているのは、EV:電気自動車などの非接触充電の分野なのです。非接触充電の原理を簡単に説明すると、充電器側のコイルから車両側のコイルへ電力を非接触で、つまり電線を使わずに供給する仕組みになっています。

この非接触充電システムで青色LEDの窒化ガリウム系半導体が大活躍すると考えられているのです。窒化ガリウム系半導体は他の半導体より短時間で電力を切り替えるスイッチング特性が優れているという利点があります。

この利点に着目して非接触充電システムの制御装置に、青色LEDの窒化ガリウム系半導体を使用すれば、より効率よく非接触で電力を供給できると期待されているのです。

 

図1(出典 EE Times Japan)
図1(出典 EE Times Japan)

たとえば、電子部品メーカーのロームでは、窒化ガリウム系半導体を電源回路の制御素子として利用すれば、図1のように、スイッチング周波数を高めることで周辺部品を小さくできること(図1左)の他、EVの非接触充電システムにおいて、コイル間の変換効率を向上できる、と提案しています(出典 EE Times Japan)。

図2
図2(出典 トヨタ自動車)

昨年のCEATEC JAPAN 2013で、トヨタは図2のように、非接触充電に関する展示を出展していて、プリウスPHVから始まるスマートな充電スタイル「非接触充電」とアピールしていました(出典:トヨタ自動車 CEATEC JAPAN 2013 REPORT)。

そのときトヨタブースの説明員に、非接触充電システムはクルマの走行中に停車せずに充電できないか、と尋ねると、「トヨタが目指す非接触充電の目標は、たとえば幹線道路に送電用のコイルを埋め込んで、その上をクルマが走れば、車両側のコイルへ給電して、停車せずに走りながらバッテリーを充電することです。もちろん、公共の道路にコイルを設置できるか、電気代の課金をどうするか、という社会的な課題は残りますが、トヨタはそういう目標にむかって、非接触充電システムの要素技術を開発しています」と、説明してくれました。

今回のノーベル賞受賞者の赤崎教授、天野教授は、トヨタ系の豊田合成と共同研究して、青色LEDの開発に成功されたことを、考えると、青色LEDが非接触充電の実現化に貢献してくれることも期待できるのです。

このように青色LEDの技術は、照明やレーザーの分野に限らず、パワーデバイス系の半導体の分野にも応用できるのです。実際に、今回のノーベル賞受賞者の一人である天野教授はTVのインタビューで、「青色LEDはパワーデバイスの分野にも応用できる」と、コメントされていました。

(山内 博)