10月6日に鈴鹿サーキットで開催されたF1グランプリにおいて、信じられないアクシデントが発生しました。
この事故で、マルシャのジュール・ビアンキ選手は頭部を強打したことによる重症を負い、7日、ビアンキ選手の家族は容態について「びまん性軸索損傷を負い、重篤ではありますが安定した状態にあります」と公表しています。 まずはビアンキ選手が回復し、意識を戻してくれることをお祈りしたいと思います。
一方、ネット上では、事故により重体となっているジュール・ビアンキ選手への励ましの声をはじめ、事故原因に関する多くの指摘や、中には憶測、さらにはこの事故に関わった関係者に対する中傷めいたコメントもとびかっています。 ここでいま一度、事故に関する情報を整理するとともに、事故の原因を分析してみたいと思います。
「F1速報 日本グランプリ号」によれば、10月6日月曜日夜の時点までの取材で得られた情報が以下のようにまとめられています。
・事故が起きたのはF1日本GPレース終盤、42周目のダンロップコーナー ・直前にザウバーのエイドリアン・スーティルがコースオフ ・イン側のグラベルに止まり、撤去用作業車が作業をしていた
・そこにマルシャのジュール・ビアンキが突っ込んで行った ・ビアンキのマシン後部は完全に、撤去用作業車に入り込んでしまった(※2)
・ビアンキは自力でコクピットから出られず、マーシャルの呼びかけにも反応しなかった
・駆けつけた医師がヘルメットを外し、人工呼吸器を取り付けた
・頭部や顔面に損傷や出血は見られなかった ・ビアンキは救急車で三重県立総合医療センターに搬送された
・医師団の指示により救急車による搬送が選択された ・ビアンキは頭部に重大な損傷が見られたため緊急手術が行われた
・月曜夜時点では集中治療室で経過を見ている状況
こうした事実に対し
・スーティルもビアンキも、コース上を流れる雨によるアクアプレーニングに陥り、コントロール不能のままコースアウトしたとみられる。
・スーティルは「雨に加えて日没も近く、いっそう視界が悪くなった。それが事故を誘発したかもしれない」と語っている。
・フェリペ・マッサは「レーススタートは早すぎたし、(中略)もっと早くレースを終えていれば、絶対に事故は防げた」と語っている。
・ニキ・ラウダは「FIAのやり方に問題はなかった。もし午後1時にスタートを早めていれば、コンディションははるかに良かった。事故も起きなかったはずだ」とコメントしている。
その後、AUTOSPORT WEBを始めとする各種媒体により、今回の事故に関する検証報道が行われています。
クリッカーはそれらの情報の分析や独自の取材から判断するに、今回の事故は『不幸なタイミングが重なった不運なアクシデント』であったと考えています。 そのひとつひとつを検証してみましょう。