なぜ? F1日本GP、ビアンキ選手のクラッシュ6つの疑問

<6>なぜヘリコプターは飛ばなかったのか?

ビアンキ選手は事故後、まずは救急車でサーキット内の医務室に運ばれました。 応急処置を施された後、三重県立総合医療センターへと搬送されました。 その搬送方法については、レース直後からさまざまな憶測が流れましたが 「救急車により搬送された」ことが事実です。
これに対し、「なぜヘリコプターを飛ばさなかったのか?」という意見が多く見受けられます。
これについては、 鈴鹿サーキットをヘリコプターが飛び立つことはできるものの、着陸地点である病院のヘリポートが天候により着陸不可能な可能性があることが理由として挙げられてされていました。 一方、脳を激しく損傷し、脳内血腫などにより脳圧が上がっているビアンキ選手を、ヘリコプターの高度変化による気圧変化にさらすことは脳へのダメージにつながり、そのリスクを避けたのではないか、とも言われています。 いずれも信ぴょう性の高い分析であり、これらに関する公式発表が待たれるところです。

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いくら事故の調査が解明されたところで、ビアンキ選手が負った重大な怪我がすぐに治るわけではありません。 しかし、今回の事故が検証され、問題点をF1関係者が認識し、より安全なレース運営を目指す姿勢を示さない限り、ドライバーもF1ファンも不安を感じることでしょう。 FIAは、今週末に開催されるロシアGPの前に報告書をまとめる見込みとなっているといいいます。 事実が充分に公表されることを期待したいと思います。

F1sokuhou2014_NipponGP2

(渡辺 文緒)