6月23日から29日まで米国コロラド州で開催される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」。今年も参戦を表明した三菱自動車は、3年連続3回目の挑戦になります。
三菱の電動車両技術と四輪技術制御のノウハウを最大限活かした「MiEV Evolution 3」の2台体制で、今年から新設された「電気自動車改造クラス(Electric Modified)」にエントリーして初のクラス優勝を狙っています。
「MiEV Evolution 3」は、昨年の「MiEV Evolution 2」を改良した進化型で、大容量バッテリーをはじめ、高出力モーター、前後4基のモーターから構成される電動4WDなどの主要コンポーネントを受け継ぎながら、動力性能と旋回性能の向上を目的とした改良を実施。
専用パイプフレームは構造の合理化と材料置換による軽量化を実施し、モーターはさらなる高出力化(4基合計400kW→450kW)を図り、増大した出力を余すことなく路面に伝えるためタイヤを大径化 (260/650-18→330/680-18)しているのが特徴です。
さらに、カーボン製カウルも新たにデザインし直され、風洞実験によりスポイラーなど細部の形状を最適化して、ダウンフォースも増大させています。
そのうえで、車両運動統合制御システム「S-AWC」の制御を進化させ、トラクションコントロール性能を向上させるとともに、限界付近での車両挙動を緻密に制御することでスピンを抑制。ドライバーにとって安心感のある卓越したハンドリング性能を実現しているそうです。
ドライバーは昨年と同様に、ダカールラリーで日本人初の2年連続総合優勝を果たし、パイクスピークでは「電気自動車クラス」で2年連続2位に入賞を果たしている増岡 浩が監督兼務で参戦し、もう1人は昨年四輪車クラス初挑戦で「電気自動車クラス」で3位に入賞したアメリカ人のグレッグ・トレーシーを起用。
大会期間中の競技車両のメンテナンスを行いながら、大会を通じて収集したデータやノウハウを当社の今後の電動車両技術、車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」および「e-EVOLUTION(モータードライブとS-AWCの融合)」の先行開発に活かしていくとのこと。
三菱といえば、かつてのパリダカ(ダカールラリー)やWRCでの勇姿も記憶に新しく、マシンもドライバーも初優勝を目指すにふさわしい陣容で望むだけに、朗報を期待したいところです。
(塚田勝弘)