パンクしない非空気入りタイヤは実現するのか?

タイヤの発明者はスコットランド人のロバート・ウィリアム・トムソンとするようですが、息子の三輪車のためにチューブ入りタイヤを作ったスコットランド人のジョン・ポイド・ダンロップがよく知られています。

AirFreeConcept

自転車もクルマもそうですが、チューブに空気を入れて使うゴム製タイヤの宿命は、パンクやバースト。ラリーなどで使われているムースタイヤや一般車向けのランフラットタイヤもポピュラーになりましたが、パンクしないわけではなく、パンクしても限られた距離を走らせることができるだけです。 

車両装着イメージ

ミシュランが2005年の東京モーターショーで「空気レス、パンクレス」というキャッチコピーで「Tweel(トゥイール)」というタイヤとホイールを一体化させたパンクレスを出展したり、産業用や自転車用タイヤでパンクしにくいタイヤをリリースしています。

ブリヂストンが開発している「エアリーコンセプト」は、東京モーターショーでも第2世代のコンセプトモデルを展示して注目を集めました。

AirFreeConcept(Side)

なんといっても、空気を入れるゴムチューブを使っていないのが特徴で、タイヤ側面にグルリと張り巡らせた特殊形状スポークが荷重を支えることで、空気の充てんが不要になるという、もはや再発明といえる夢のタイヤ。

AirFreeConcept(front)

空気圧が低いとパンクやバーストなどのトラブルの可能性が高まるだけでなく、燃費にも悪影響を与えますが、省メンテナンス性に優れるとともに、パンクの心配もなくなります。

また、タイヤの転がり抵抗は、タイヤが転がる際に変形を繰り返すことで生じるエネルギーロスが約90%を占めているそうで、新素材を採用するとともに、タイヤの構造面をシンプルにしたことで、エネルギーロスの大幅低減に成功。

これにより、空気を使わないタイヤながら、ブリヂストンの空気入り低燃費タイヤと同等の低転がり抵抗性能を達成しているそうで、CO2排出量削減にも貢献するというメリットもあります。

最近では、車両軽量化や積載スペースを増やすために、パンク修理キットを搭載する車種が主流ですが、こうした時代の流れにもマッチする特性を備えています。

現在の第2世代「エアフリーコンセプト」は第1世代から、耐荷重性と走行性能を向上させて、超小型モビリティを使った高速走行(最高速60㎞/h)も可能になるなど、軽量な1人乗りシティコミュータなら技術的には現実的なところまで来ているようです。

さらなる機能性向上とコスト面などの課題も残りそうですが、「できるだけ早い段階で幅広い車両への製品実用化を目指す」としており、期待が集まります。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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