9月5日の発売後1ヶ月で月販計画4倍超えの6.2万台を受注するなど、好調な滑り出しを見せているホンダの新型「フィット」。
「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載して国内最高の低燃費となる36.4km/Lを達成したHVモデルが受注全体の70%を占めており、顧客のHVへの関心の高さが窺えます。
そうしたおりホンダが10月25日、新型フィットのHVモデルを対象に4,883台のリコールを発表。
同モデルで初採用した「7速DCT」(デュアルクラッチトランスミッション)の自動変速機制御ECUのプログラム不備により、モータ走行モードでの停車時に変速機内のドグとスリーブが噛み合わない不具合が発生している模様。
同社のDCTは1速にプラネタリギアを採用することで、コンパクト化が図られており、ミッションケース内に内蔵されています。
1速ギアが噛み合わない場合は発進不能となる恐れが有り、2速ギアが噛み合わない場合には奇数段変速での走行となる恐れが有ると言います。
改善措置としては自動変速機制御ECUのプログラムの書き換えで対応するようですが、Web情報などによると、従来とは違う位置で1速を噛み合わせるように制御を変更、また、2速の噛み合いについては、1速から2速に変速するときに、予め偶数段側のシャフトを回転させて噛み合い易くなるよう制御を追加するとのこと。
リコール対象車の製造期間が2013年8月23日~9月13日となっており、新型用に生産ラインを切り替え後、20日間のうちに製造された初期不具合と思われます。
販売店からの市場不具合情報がリコール発表時点で既に113件に達していることから配車直後に苦情が殺到、急遽プログラムを書き換えて対応したものと推測されます。
今年に入ってVWが同様に「7速DSG」の不具合で3月に中国で38万台、5月に日本で10万台の大規模なリコールを発表しましたが対策に手間取ったVWとは対照的。
9月5日の発売後に不具合が発覚して、リコール対象車が9月13日生産分までというのはプログラムの修正だけとは言え、クレームを受けてから不具合再現テスト~再設計~対策版ECUリリースまでに必要なリードタイムを考えると非常に短期間での対応。
いずれにしても幸い事故の発生は無いようですが、信号停止などで発進出来ないとなると、最悪の場合追突される可能性も有る危険な不具合だけに、発売直後に購入した顧客への不具合アナウンスがどうなっていたのかが気になるところ。
近頃のECUは果たす機能の多様化により、益々ブラックボックス化の一途で、他社車でも「ECUプログラムが不適切」とする不具合が頻発しており、試作段階や市販仕様車での実車確認がいったいどうなっていたのかが大いに気掛かりであると共に、今後の確実な再発防止が望まれます。
<リコール詳細情報>
■届出日 2013年10月25日
■対象台数 4,883台
■不具合状況と原因
7速DCT型自動変速機を搭載した車両において、
自動変速機制御コンピュータのプログラムが不適切な為、
モータ走行モードでの停車時に変速機内のドグとスリーブが
噛み合わないことがある 。
その為、トランスミッション警告灯が点滅し、
メータディスプレイに点検表示がされると共に
1速が噛み合わないと発進出来なくなる恐れや、
2速が噛み合わないと奇数段変速での走行となる
恐れが有る。
■不具合対応
全車両、自動変速機制御コンピュータのプログラムを
対策プログラムに書換える
■不具合件数 113件
■発見の動機 市場からの情報
■事故の有無 なし
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