「EV普及の壁」に風穴を開ける日産の世界販売戦略とは?

日産は「リーフ」を発売当初、EVを「2016年までにルノー分と合わせて150万台の世界販売を目指す」としていましたが、目標達成期間のほぼ半分が経過した現時点で世界販売が足踏みしていることから、今年の7月下旬に目標達成時期の4年先送り(~2020年)を発表。 NISSAN_LEAF

そうしたおり、同社は10月8日、リーフの国内累計販売台数が9月末に「3万台」に達すると共に、世界市場に於いても「8.3万台」まで累計販売台数が伸びたと発表。 

「リーフ」は世界初の量産EVとして2010年12月に日本及び北米で販売がスタート。その後徐々に販売台数を伸ばして2012年には国内市場で11,600台を販売。今年度は昨年度を更に上回る見通しと言います。

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日産は「リーフ」の販売台数がここへ来て伸び始めた理由について、ランニングコストの低さや加速性能の良さ、静かな室内、車外から操作が可能なエアコンや充電などのIT機能など、単にゼロエミッションだけに留まらないEVならではの特徴が発売後3年弱の期間を経て徐々に顧客に浸透し始めた為としています。 

また、EV普及の「足かせ」とされる国内の急速充電インフラ整備も進み出したようで、9月末時点で日産の販売店に設置の約800基を含めて全国で約1,900基に拡大。 

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政府による1,005億円に及ぶ充電器設置補助金の後押しもあり、2013年度下期には新たに約700基を設置する予定と言います。 

同社は更なるEV拡販に向けてリーフを無料で貸し出すモニターキャンペーンを打つなど、EV普及に向けた顧客への理解活動にも積極的。 

更には先日お伝えした、リーフに続くEV第2弾となるミニバン「e-NV200」の2014年中の世界販売を予定するなど、世界主要都市の公共機関やタクシー業界へ売り込むことで、「EV普及の壁」に風穴を開けようとする同社の攻めの戦略が窺えます。 

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 (Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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