排出物が水のみでCO2やNOx、SOxなどの汚染物質を出さないFCV(燃料電池車)が2015年の国内発売を皮切りに、2020年の本格普及を目指して開発が進んでいます。
FCVは燃料充填時間や航続距離がガソリン車並であることから「究極のエコカー」としての期待が高く、自動車各社や石油・ガス業界が加盟する「HySUT」(水素供給・利用技術研究組合)を母体としたインフラ整備が既に進展中。
安倍政権の経済成長戦略にFCV向けのインフラ整備が組み込まれ、経済産業省が「水素ステーション」の保安基準整備を1年前倒しして今年度末にも完了する方針。
具体的には液化貯蔵と、水を電気分解して水素を取り出す2方式の基準を整備、FCVが発売される2015年までに4大都市圏を中心に100ヵ所、2025年時点で1000箇所、2030年時点で全国5000箇所への水素ステーション展開が予定されています。
既にJX日鉱日石エネルギー、出光興産、岩谷産業、大阪ガス、コスモ石油、昭和シェル石油、西部ガス、大陽日酸、東京ガス、東邦ガスなど10社が水素供給事業者として名乗りをあげており、東京、名古屋、大阪、北九州の4大都市を結ぶ道路上にインフラを集中させる計画と言います。
先日も「水素の液体化で体積500分の1に! FCV(燃料電池車)に革命!!」で触れたとおり、液化した水素を常温・常圧で貯蔵や輸送を可能にする技術も開発されています。
ちなみに水素ステーションは、大きく以下の3種類に分類されます。
・オフサイト型 水素ステーション
他の場所で高圧下で液化された水素をタンクに貯蔵しておき、
直接FCVに充填する方式。・オンサイト型 水素ステーション
天然ガス、LPG、LNG、脱硫ガソリンなどを水素ステーションに
貯蔵しておき、ステーション内で触媒を用いて水素を抽出、
FCVに供給するシステム。・移動式 水素ステーション
大型トレーラーで水素を供給先まで直接搬送
オフサイト型はステーションへのタンクローリー輸送にかかるエネルギーロス、オンサイト型は水素製造過程のヒートロスや水素改質率などが課題になっている模様。
インフラの初期コストや運用コスト面から「オフサイト型」の普及が進むと予測されますが、現行ガソリンスタンド建設の5倍のコスト(約5億円)がかかるとされる「オンサイト型」についても将来に備えて平行で検討されている状況。
水素ステーション自体は既存のガソリンスタンドへの併設、もしくは水素専用の供給ステーションを設けるケースが考えられているようです。
6月には欧米など33カ国・地域がFCV安全性の国際基準として日本案を採択。
小型化を得意とする「メイド・イン・ジャパン」の底力を考えれば、水素生成装置の大幅なコンパクト化実現により、全国各地の水素ステーションで、自然エネルギーを使って水素を自家生成する日もそれほど遠い先の話しでは無いかもしれません。
(出展 HySUT/出光興産)
■JHFC 水素・燃料電池実証プロジェクト
http://www.jari.or.jp/jhfc/index.html
■NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
http://www.nedo.go.jp/
■HySUT(水素供給・利用技術研究組合)
http://hysut.or.jp
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