リーマンショック後の「東京モーターショー2009」で出展を取り止めて以来、不参加が続く米国勢ですが、主催者である自工会(日本自動車工業会)によると、2013年度も「販売促進に繋がる効果が期待できない」として出展を予定していないそうです。
今年4月の日米間TPP事前交渉で「米国車が売れないのは日本の市場が閉鎖的な為」と強く批判する一方で、販促に繋がるビッグイベントに参加しないのはリーマンショック後に速やかに出展復帰を果たした欧州勢に比べるとかなり対照的。
自工会の北米事務所は8月6日、TPP本交渉に際して「米国で販売された日本車のうち、北米の工場で製造された比率が2011年の68%から2012年に過去最高の70%に上昇した」と米経済への貢献度を示す資料を公開。
米車が日本で売れないのは「販売増に繋がる商品力、アピールが足りない」としており、日本のTPP参加が米経済の打撃になると繰り返す米自動車業界の主張についても異を唱えています。
ただ、先日お伝えしたとおり、日本の自動車各社は米国での販売好調に支えられて収益を大きくあげているのが実情。
ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)を脅かすまでに日本勢が米国市場を席巻しており、米国側にしてみれば自国の市場を日本の為に開放しているようなもの。
それでも米国が かつてのように日本勢を締め出さないのは日本が米国で現地生産化を進めており、雇用や部品の現地調達等で米経済に大きく貢献している為。
有る意味、「持ちつ持たれつ」の関係とも言えますが、日本政府は現在までのところ、市場の閉鎖性を指摘する米国への対応として、日本車への「関税撤廃時期の後ろ倒し」と日本への「米国車輸出枠拡大」などで譲歩するに留めています。
そして今回、米国側は8月7日~9日の3日間で日本で開催された日米並行交渉初会合で改めて日本側に「非関税障壁」への対応を要求して来ました。
米国側は「安全性」「燃費」「騒音」などの日本独自の規制への対応が難しい為、輸出条件の緩和を求めており、日本で大きなシェアを占めるようになった「ガラ軽」の優遇税制についても見直しを要求している模様。
勿論日本はこれらの要求に応じておらず、今後の交渉の行方が注目されています。
日・欧に性能面で劣る商品を規制緩和までして導入したところで、日本の顧客が食指を動かす筈も無く、ましてや米車を日本人に「押し売り」する訳にもいかないので、結局、米国自動車各社が自ら商品力を高めるしかありません。
人気の現地製日本車を米国で売りまくる日本、一方、その見返りとして日本側に「非関税障壁」への対応を求める米国。
さて、今回のTPP自動車交渉の落とし処や如何に?
<TPP交渉 全体スケジュール>
4月20日~ APEC貿易相会合・TPP閣僚会合
5月 米など11カ国のTPP交渉会合
7月 TPP交渉会合に日本が初参加
9月 TPP拡大交渉会合 ←次はココ
10月 APEC首脳会議・TPP首脳会議
12月 TPP交渉会合(予定)
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