最終話を迎えた「頭文字D」が自動車業界にもたらしたものとは?

トヨタがハチロク86として「復活」させたひとつのきっかけとなったかも知れない長編マンガ「頭文字D(イニシャル・ディー)」が先日7月29日(月)発売の「週刊ヤングマガジン」で最終回を迎えました。1995年に連載開始というから足掛け18年というロングランです。北関東の峠を中心とした公道を舞台に主人公の藤原拓海とライバルたちがスポーツカーでマッチレースを繰り広げるというストーリーです。ぎりぎりリアルな走りを迫力のある絵柄で描き切り、その人気は社会現象にもなりました。自動車業界に与えた影響も少なくありません。

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 特にこのマンガを際立たせたのは、主人公の駆るマシンがハチロク(AE86)という希代の名車(!?)であったことでしょう。
もともと走行性能は折り紙付きとはいえ、連載当初としてもとっくのとうに過去のクルマ。初めはバカにするライバルたちが、そのハチロクにあっさり抜き去られていく痛快さにしびれたものです。
また、そんなライバルたちのマシンも80年代から90年代を代表する名スポーツカー揃い。あのクルマとこのクルマが対決したらどうなる~、というシミュレーションとしても楽しむことができました。 

sBそれにしても20年近く続くと、長期連載の“アヤ”というものが出てくるモノです。

クルマが時代と合わなくなってきます。もちろん、それぞれに愛着のあるクルマを大事にする人はいますが、現在を描くとなるとS15シルビアやR34スカイラインでさえ、街で見かけることはほとんどなくなりました。ましてや、本気のバトルをするという使い方は皆無でしょう。
きれいに楽しく乗り続けるというふうな価値観をもつオーナーが多いようです。

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 例えばFC3S、FD3SといったRX-7などもこのマンガの中で特に印象深いクルマです。

このマンガがなくてもずっと乗り継がれたであろう名車です。

しかし、作品中の高橋兄弟がロータリーを駆る姿に特別な意味を持って憧れた方も多く、この作品がそこに登場したクルマたちの人気を後々まで支え、多くの個体を現在まで美しい姿で残したことは間違いないでしょう。

「頭文字D」は確実にクルマの寿命を延ばしているのです。

 

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 では、そんなクルマたちがどのようなマシンだったのかという興味に突き当たります。
するとここでも長期連載の悲哀、当時の資料はなかなか残っていません。FD3Sは1991年、ハチロクに至っては1983年に発売といから当時のカタログさえもはや古文書といったところ、高いお金を出して当時の本を買うのもどうか、でもあの頃の熱をもう一度……。 

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 そんな方に、電子書籍という選択肢をご紹介します。
1980年に創刊された車種別購入ガイド「ニューモデル速報」(すべてシリーズ)は、電子書籍として全480冊以上を販売しています。
創刊当時から今とほぼ変わらない企画内容で新車の情報を紹介しているから、今となっては貴重な資料と言えます。

そして、なんと、最終回に便乗して“イニシャル・セット”という微妙な名前の10冊セットを販売しています。なんでも、「頭文字D」で印象深い活躍をした車種を集めているそうです。期間限定のセール中というので是非チェックしてみて下さい。

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クルマの本屋
http://car.as-books.jp/books/info.php?no=PKG20130729

 

さて、「頭文字D」の最後のページは、主人公が当時の最強マシンの一角であるインプレッサに乗って走り去る後ろ姿でした。
しかもGC8、……やはり古いですね。このマシンもセットに入っています。この夏、「頭文字D」を読み込むなら、副読本としてニューモデル速報イニシャル・セットがオススメです。

 (須賀屋)