インタープロトジェントルマンレース あちこちでアクシデント続出!

前日までの梅雨空を忘れたかのような快晴は、まるでインタープロトシリーズの開幕を祝福するかのようでした。メモリアルとなる最初のレースは、ジェントルマン・ドライバーによって行われました。

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10Lap先のチェッカーフラッグを目指して、グリッドに並んだのは6台のマシン。そのうち4台のマシンは組み上がったばかりで、シェイクダウンは雨というコンディションでした。つまりドライで走らせるのは初めて、というドライバーが大半だったのです。

ポールポジションからスタートした卜部を、予選3番手の三浦がオープニングラップで交わしてトップに立ちました。そこから2台の接近戦バトルが展開していきます。

マシンもタイヤのワンメイクで、セッティングをする時間すらなかったので、完全にマシンの性能は同じはずです。つまりドライバー同士、完全なウデの勝負が展開されたのです。

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いくつかのコーナーで並びかけるなど、攻めていた卜部が4周目のAコーナーで、ついにトップを奪いました。

今度は三浦がチャレンジする側になりましたが、ダンロップコーナーの進入のブレーキングでスピン、そのままイン側の土手に乗り上げから、ダンロップコーナーへと弾かれてしまいました。そこに卜部が進入するタイミングとピッタリ合ってしまい、2台はクラッシュし、そのままリタイヤとなりました。

ここでセーフティカーが導入されましたが、その時点でトップに立った伊藤はその周回でピットスルーペナルティを受け、渡辺が暫定1位のポジションを得ました。7周目にセーフティカーが解除されましたが、そこで2位伊藤と3位青木はコントロールラインを通過する前に渡辺をパスしてしまったのです。

速さに勝る伊藤が2位以下を引き離し、トップを独走していきました。2位青木をマークしていた3位渡辺は、8周目、9周目とストレートでも接近しましたが、オーバーテイクには届かない。しかしファイナルラップ、本人も驚いたというほど、吸いよせられるようなスリップストリームを初体験し、青木を攻略することに成功したのです。

ジェントルマンレースでは、コースのあちこちでアクシデントが続発。しかしミドシップカーらしく、その場でスピンするのでフェンスなどに接触するケースはほとんどありませんでした。

波乱のジェントルマンレース、最初にチェッカーフラッグを受けたのは伊藤でした。しかし、再スタート時の追い越しによって30秒加算のペナルティが与えられ、渡辺がインタープロト初の勝者に輝きました。レース経験がなく、初レースでの優勝という快挙を達成したのです。

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マシンを降りて優勝を知らされた渡辺選手が、アドバイスをもらっていた影山正美選手とがっちりと握手。喜びを爆発させていました。

ジェントルマンドライバーのレースとはいえ、マシンは完全なるレーシングカーです。響き渡るエンジン音の迫力と、アクシデントまで含めたエキサイティングな展開が、レースの魅力を強くアピールしているように感じました。

ついにスタートを切ったインタープロトシリーズ。今後の進化にも注目したいものです。

(岡村 神弥)