世界のマザー工場としての役割を担うホンダの寄居工場(埼玉製作所寄居工場)が稼動、生産を開始したと7月9日に発表しました。国内自動車産業の空洞化が懸念されていますし、事実各メーカーの海外移転の流れも止まった気配はありません。しかし、将来の社運を左右する高度な生産ラインは国内に留め置いておく、というのが大半の日本メーカーの姿勢で、MADE IN JAPANを標榜する以上は責務ではないでしょうか。
ホンダでは1964年の埼玉製作所(狭山)以来の完成車工場で、寄居工場ではフリードや今年の9月に発売が予定されている新型フィットの生産も行う予定で、生産能力は年間25万台を計画しています。
同工場では、「最も環境負荷の小さい製品を最も環境負荷の小さい工場で作り出す」ことをコンセプトに、同社の最先端の生産技術と高効率な生産体質の構築しているのが注目。
具体的には、エネルギーの使用状況や設備の運転状態を監視し、管理や異常リスクの対策ができるエネルギー管理システムやヒートポンプ冷凍機の導入、2.6MWのメガソーラー設置により年間約1200tのCO2排出量を低減しています。
これらにより、世界トップクラスの省エネルギーを実現した工場で、塗装工程にショートプロセス高機能塗装技術を採用するなど、先進的で高効率な生産ラインを実現。
ホンダはN BOXでシェアを拡大した軽自動車をはじめ、30km/Lのアコードハイブリッドなどで国内販売の伸張が期待できますし、フィットのフルモデルチェンジも注目度大ですから国内生産拠点の整備は、ホンダはもちろん、地元からも期待大であるはずです。
(塚田勝弘)