超小型モビリティは小さな四輪?それとも二輪の発展形?

ホンダが、熊本県および沖縄県宮古島市と、それぞれ「マイクロコミュータープロトタイプβ」を使った社会実験の覚書を交わしたことを発表しています。

今回の社会実験で使用される「マイクロコミュータープロトタイプβ」は、すでに発表されている「マイクロコミュータープロトタイプ」を発展させたもので、タンデム2シーターを基本とした電気自動車です。

今回の実験では、高齢者層の近距離圏内の日常的な移動支援のほか、通勤や業務目的のカーシェアリング、またリヤシートを子ども2名用に変えられるということで子育て層への利用についても検討するということです。あわせて、それぞれの環境に合わせたインフラを含めた街づくりについても自治体と共に検証していく予定と発表されています。

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現在、こうした超小型モビリティについては、ホンダのほか日産も社会実験を行なっていますが、日産ルノーの開発した「ニューモビリティコンセプト」は小さな軽自動車というイメージなのに対して、ホンダのマイクロコミュータープロトタイプは、欧州での二輪カテゴリーL7(400kg以下、15kW以下)での展開も視野に入れて開発しているといいます。 

この2台を比べると、オートバイメーカーでもあるホンダは二輪の発展形、日産は四輪の発想から超小型モビリティへアプローチしているような印象を受けるかもしれませんが、メーカーのバックボーンが小型モビリティに影響しているとはいえません。トヨタが欧州のショーで発表しているコンセプトカー「i-road」はリーンする二輪的な感覚を持った一台となっています。

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またトヨタ系でいえば、トヨタ車体のコムスは2代目となり、コンビニでの配送に利用されるなど、社会の中に超小型モビリティとして存在感を示しつつありますが、このクルマは原付相当の、いわゆるミニカー(マイクロカー)に区分されるもので、法規的には二輪であり、四輪でもあるといった存在です。

トヨタといえば、おもちゃショーに連続して出展した「カマッテ」シリーズのような、1+2シートレイアウトの小型モビリティはが、公道走行を意識しているのはウインカーなどの保安部品が付いていることから想像できるところで、超小型モビリティに対して、様々な方向性を模索している段階といえそうです。

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2011年の東京モーターショーでは、軽自動車の二大メーカーであるダイハツとスズキが、それぞれ超小型モビリティの叩き台といえるようなコンセプトカーを出展していたことも記憶に残っていますが、この2社については最近の社会実験へは距離を置いている印象。はたして、今秋の東京モーターショーでは、どのメーカーが、どのような提案をしていくるのでしょうか。 

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(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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