2016年までにEVを150万台販売する──この目標に関してゴーン社長が「大いに失望している」と年頭のデトロイトモーターショーで発言したためか、30万円近くプライスダウンを果たした日産リーフ。そして、i-MiEVのリチウムイオン電池のトラブルもあり、「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」の申請終了など補助金を取り巻く話も少々複雑と、EVを取り巻く状況はやや多難のようです。
ただし補助金は、平成25年4月1日以降に登録された車両であれば、平成25年度のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金に申請が可能となる見込みとのこと。もちろんディーラーで詳しく教えてもらえますが、晴れてEV購入時となる前に盲点を考えてみましょう。
戸建てでEVを充電するには、100Vか200Vになります。200Vは築15〜20年以内くらいであれば配電盤まで200V電源が来ているはずです。筆者の自宅は築4年ほどですがガレージにも200V電源があります。ただし、i-MiEVやリーフはこのままでは充電できませんので、コンセントの工事が必要になります。
電気代をお得にするには、真っ先に深夜電力を使うことが浮かぶはず。原発事故以降、節電の夏を迎える度に深夜電力の話題がTVでも取り上げられました。
東京電力で深夜電力を検索すると、一般的な「従量電灯B・C」、「朝特プラン」、「おトクなナイト8」、「おトクなナイト10」、「夜得プラン」、「半日お得プラン」、「土日お得プラン」が並んでいます。ほかにも電気給湯器利用者向けや店や事業者向けもありますが、じつは「深夜電力」はありません。
それならと節電を考えた人ならお気づきだと思いますが、「夜得プラン」にすると、夜9時〜5時までは料金がお得になる一方で、かなりの夜型でないとお得感は少なく、「おトクなナイト8」、「おトクなナイト10」も結局日中は約20%割高になります。
じつは「深夜電力」は東京電力の場合だと電気給湯器、つまりエコキュートを使っている人向け。高額な設置コストに対する見返りの側面もありますが、原発の行方が左右していますので、今後は落とし穴があるかもしれません。
それでも夜は昼間の約1/3ほどになりますから、夜型生活なら「おトクなナイト8」などにして昼間の料金が上がるのは目をつぶることはできるでしょう。
なお、駐車場の工事費用は戸建て10万円前後かかるようです。また、日産の場合はディーラーで急速充電できますが、日産カードが必要で月額1500円の会費もかかります。
電費はリーフの場合で1km/1.5〜2円前後のようです。現在1Lの全国平均は150円を切るくらいですから、ガソリン車よりも圧倒的に安いのは確かです。ですが先述したように、EVの恩恵を得るには初期投資も回収にもそれなりの費用と時間がかかります。
スマートハウスでも手に入れない限り、当面理想的なのは、自宅近くに空いている無料の普通/急速充電スポットもあることかもしれません。
(塚田勝弘)