2483km、185リッターで13.4km/Lのフォレスター・ディーゼル、日本導入を期待!

前回のパリ郊外からニースより山側に登ったチュリニ峠付近まで12時間のドライブを安全に、楽にこなしてくれた欧州仕様フォレスター・ディーゼル。

取材を終え、マキネンさんとも別れ、峠を降りて地中海を目指します。

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大雨の中、途中には落石もある峠道を、フォレスターは難無く走り続けます。

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着いたのは、モナコ。

公道がサーキットになり、F1が開催される街です。フツウに走っている道路に、スターティンググリッドや、サーキットにあるような縁石が見られます。モナコに来たんだなと実感します。

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モナコから地中海沿いに高速を走るといつの間にかイタリアへ入国します。県境を超えるように国境を越えることができます。

イタリアの高速道路「アウトストラーダ」を長靴の付け根方向へ向い、付け根近くで北上し、トリノ方向を目指します。途中のパーキングエリアで昼食を摂りますが、やはりイタリア。私はニョッキをいただいたんですが、こってりしている上に量が多いです。残しました。フツウにワインも売ってますがガマンします。

どんどん、どんどん北上します。イタリアのこの辺の道路はかなり直線が多く、北海道を走っているような気分です。建物もほとんどなく、畑が広がっています。こういうシチュエーションでもフォレスター/ディーゼルは真価を発揮します。高速130km/h程度でも、比較的低回転で力強く回るエンジンが、軽いアクセル操作でスッと追い越しモードに入ったり、緩い上り坂でもギヤチェンジすることなく走れ、精神的な余裕を与えてくれていたんだなというのが、後からジワジワと感じられます。

走り続けると長い長いトンネルに入ります。

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モンブランの下を抜けるトンネルです。イタリア側から入ると、フランスのシャモニーに出ます。全長11.8kmもあり、1965年に開通し、ヨーロッパの物流を支える重要な交通手段となっていましたが、1999年には多くの死者を出す大変な火災事故が起き、3年間も閉鎖されていたそうです。

そのためか、安全に関る設備が充実しているように感じました。避難経路の表示や、定期点検の案内等、クルマで移動するのが便利なヨーロッパにおいて、やはり安全があっての移動手段であることに変わりはありません。

トンネルを抜けるとそこは文字通り雪国でした。

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が、あいにくの雨模様でまったく絶景は見えず、一生の内にもう一度来るのかなぁ、と後ろ髪引かれつつ出発し、ジュネーブを目指します。

スイスのジュネーブは実はフランスに挟まれるように位置し、国境にすごく近い場所にあります。ここでもパスポートコントロールなどはありませんが、なにか貨物車両などはチェックを受けている車両もあったようです。

そして、ジュネーブショー会場へ。

スバルブースには、スバル誕生55周年を記念したディスプレイが見られます。

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Forester@France_20スイスを表す「CH」のステッカーが貼ってあるスバル360。その360のミニチュアで構成された「55」の文字。コンセプトカーの「VIZIV」、「BRZ」も展示されていました。

そして、取材の後、再びフランス国境を越え、湖のある小さな町、Nantua(ナンチュア)を目指します。街灯のない高速道路ではない田舎道のペースもかなりの速さで流れています。そしてナンチュアのレストラン併設のホテルに投宿しました。

後でわかったんですが、Nantuaを舞台にし、日本の漫画を原作にした映画が数年前にできていたと知り、驚きました。しかし、日本の漫画、アニメはフランスではかなりメジャーで人気のようです。

Forester@France_28翌日、フォレスター・ディーゼルは一路パリを目指します。一度山越えをして、高速に入り、おおよそ制限速度の130km/hくらいで巡行します。やはり、それくらいの速度域でも高めの視線とアクセルワークに神経を集中する事無く運転でき、長距離移動に楽なクルマだと実感します。

パリに着き、翌日街中を走らせてみました。フランスの交差点は信号機のないいわゆるロータリー式交差点が多いんですが、ここではちょっとした慣れが必要です。右側通行なので右折でサークルに入って行きます。

入って行こうとしたら、左からロータリーを回っている車両が来ます。さて、進むべきか、譲るべきか?

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基本的な優先権は、入って行く車両にある。回っている車両が譲らなければならない。英国などに見られる丸い交差点「ラウンド・アラウンド」などは回っている車両に優先権があるので間違いないようにしなければならない。しかし、入って行くクルマが優先だと、ドンドン輪の中のクルマが増えるのでは?という疑問がよぎったが、そんなことにはなっていなかった。慣れると意外に走りやすく楽しめる気がしました。

走ってる様子はこちら。

車線もなにもあったもんじゃないのに、なぜか混沌としながら秩序良く走っていますね。

さらに翌日、フランススバルへ長く旅を共にしたフォレスターを返却しなければなりません。

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洗車をして、燃料である軽油を補給。全行程2483kmを走り、入れた軽油の量は185.60L。燃費は13.4km/Lとなります。高速が多いとはいえ、日本で考えるよりかなりのハイペース、峠も多かったことを考えると、かなりの好燃費だと思います。それに、給油回数が少なくて済むのは、時間的にも精神的にも楽になります。

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およそ2500kmものすべて知らない右側通行の初めての道を走り、本当に運転の疲れみたいなものを感じなかったのは不思議なくらいでした。それでいて単調な景色にも眠くなることもなかった気がします。

市販ハイブリッドを発表したばかりのスバルですが、早く日本にもディーゼルをリリースして欲しいと思いました。スバルの個性として、ディーゼルの性格は合っている気がします。その日を、心より待ちわびたいと思いました。

(小林和久)

<前編>フォレスター・クリーンディーゼルで12時間、1000kmの走行を安全にこなすhttps://clicccar.com/2013/03/06/214569/

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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