フォレスター・クリーンディーゼルで12時間、1000kmの走行を安全にこなす

我々が興味津々で追いかけておりますフォレスターライブ。

スバル車がこれまでも話題の新車がデビューする時に、初代レガシィの10万キロ耐久テストにおける平均速度記録など、「記録」を刻んできました。

そして、フォレスターライブもそのひとつ。

世界五大陸の「難所」に挑みながら、一台のクルマで10万kmを走破してしまおうというものです。

そのひとつの大きなみどころがやってくるという速報はお届けしました。スバルインプレッサでモンテカルロラリーでの優勝経験もある、トミ・マキネン氏がフォレスターライブに参加するというニュースが流れて来たのです。

場所は、そのモンテカルロラリーのスペシャルステージが行われるフランスはチュリニ峠。ニースやモナコから山間部へ登った辺りです。

早速、我々クリッカー取材班はパスポート取得から各種手配を行い、なんとか取材できるくらいまで漕ぎ着けました。

取材の足として、選ばせていただいたのは新型フォレスターのクリーンディーゼル仕様。ヨーロッパでは燃料費を抑えるためというより、低速トルクの魅力、燃費の良さから来る一回の給油での足の長さ、そしてプレミアム感などからディーゼルが選ばれているといいます。

日本ではCX-5の発売以来、ディーゼルも注目の的ですが、ライバルとも言えますが日本未発売のフォレスター・ディーゼルの実力をチェックしたいと思ったわけです。

12時間かけて羽田空港からシャルルドゴール空港まで空の旅の後、訪れたのはスバル・フランス。こちらの広報部長であるジルさん(右)からフォレスターをお借りします。

当然ですが、左ハンドル。さらに欧州ではまだまだ需要が高い6速のマニュアルシフトです。

スタータースイッチを押すと、一瞬間があってエンジンがかかります。この間は、コールドスタートのみで、エンジンが暖まっている時はすぐにかかります。

気になるエンジン音は、まったくガソリンと変わらないとはいいませんが、ディーゼルとしてはかなり静かなほうで、普通の街中なら、まったく気にならないほどの音量です。音の質は、ゴロゴロした感じではなく、軽やかなイメージと言っていいでしょう。

マニュアルシフトのクルマって、やっぱり初めて乗る時はどの辺でクラッチが繋がるのか、エンストしやすいのか、と少しは不安があります。フォレスターディーゼルは、初めにその部分をわかってしまうと、後はまったく気にせず発進できます。乗りやすいディーゼルと言えるでしょう。

低回転でポンポンポンとシフトアップしても、スピードはそれなりに付いて来てくれて、ヨーロッパでディーゼルやマニュアルが人気なのもよく理解できます。

高速道路では、合流などで踏み込めば流れの速いコチラの車速にもすぐに乗れてしまうほどで、加速は十分です。加速音もディーゼルらしいグワァワァーといったものは皆無で、ほぼ乗用ガソリン車と同じようなイメージです。

フランスの高速道路は都心に近い部分で110km/h、郊外や直線の多い部分で130km/hですがこの辺りの速度域がちょうど気持ちいいですね。6速で軽いアクセル操作のみで、ゆっくりした加速も減速も行えます。ターボチャージャーをアクセルで調整するようなイメージでしょうか。

このようにディーゼルは変速せずにアクセルで加減速を行うのが楽で、マニュアルとの相性がいいと言われるのもそのためでしょう。

さらに目的地のモンテカルロの舞台、チュリニ峠付近では雪が降り出したんですが、AWDが遺憾なく性能を発揮し、あえてスリップを発生させてみてもすぐにコントロールされ、安全に雪道を走破できることも確認できました。

燃費は、パリの渋滞、ラリーモンテカルロのステージも一部含み、約1000kmを走って、13.9km/L(満タン法)となりました。かなり実用燃費に近いものだと思います。ちなみに軽油、ディーゼルをフランスでは「GOZOLE」と表現したりもします。

それに、12時間のフライトから即座に1000km、雪道も含む12時間のドライブを何事もなく安全にこなせたのも、フォレスターのお陰だったと思いました。

(小林和久)

<後編>2483km、185リッターで13.4km/Lのフォレスター・ディーゼル、日本導入を期待! https://clicccar.com/2013/03/06/214569/

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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