安倍政権が発足した2012年12月26日以降、「アベノミクス」によるデフレ脱却戦略に伴い、それまでの1ドル80円台から2013年2月には90円を突破、現在では100円弱まで円安が進行。
同時に原油の輸入価格も為替相場に合わせて大きく動きを見せています。
輸入に依存する原油の価格は政情などでも変化しますが、基本的には為替が円高に振れれば下落、円安に振れれば上昇します。
その相関関係を検証すべく経済産業省が公表しているレギュラーガソリンの全国平均価格推移と石油連盟が公表している原油輸入価格(CIF)のデータを元に「見える化」してみました。
円高傾向と共に下がりつつあった原油価格がイラン核開発疑惑による経済制裁の影響で2012年に入って上昇、その後4月をピークに下落し始め、欧州債務問題の再燃などで8月頃に底入れを迎えます。
EU首脳会議で債務問題に一定の目処が立つと、原油価格はその後再び上昇を続け、政権交代が起きた2012年12月以降、2013年3月にかけて為替が急速に円安に振れると、原油価格もそれまでの5.8万円/KLから6.8万円/KLへとさらに上昇。
それにつれてガソリン価格もそれまでの147円/Lから3月には156円/Lまで上昇しました。
ところが4月に入ると、1ドル100円弱まで円安が進行する一方で、ガソリン価格が下落し始めています。(3月 156円/L → 4月末 153円/Lに下落)
原油価格の上昇を理由に電力会社が電気料金を値上げした一方で、なぜガソリン価格が下落傾向にあるのでしょうか?
新聞報道などによると、その理由として低燃費車への乗換えが進んだ事で国内のガソリン消費が減り、ガソリンが余剰傾向となっている為としています。
2011年12月の発売以降、月間販売台数が2万台を超えるトヨタ「アクア」のように200万円を切る手頃な価格のHVや、低燃費化が益々進む軽自動車などへの買い替えが進んだことで、円安にも関わらずガソリン価格が低下しているという訳です。
この先、HVに加えてPHVやEV、さらにはFCV(燃料電池車)の普及に伴いガソリン需要の減少は今後も続くと思われ、かと言って安易に値上げする訳にも行かず、矛先はガソリン価格の半分弱を占めているガソリン税(53.8円/L)に向かうのは必至。
ガソリンが売れなくなることで、長年に渡って聖域として温存されて来た「税」の見直しについていよいよ石油連盟が本腰を入れて動き出すことになるのかもしれません。
■参考
・ガソリン価格
(ガソリン本体+ガソリン税 53.8円+石油税 2.04円+原油関税 0.215円)×消費税
・CIF(Cost, Insurance and Freight)
日本国内入着平均価格(税関を通った原油の運賃・保険料込み価格)
■経済産業省 全国ガソリン価格一覧
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/sekiyukakaku/sekiyukakaku1.htm
■石油連盟 原油CIF輸入価格資料
http://www.paj.gr.jp/statis/
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