国産車との違いは? 衝突回避支援システム(自動ブレーキ)自動車メーカー別比較!【輸入車編】

前回ご紹介した最新の衝突回避支援システム(自動ブレーキ)自動車メーカー別比較!【国産車編】に続き、輸入車にも広く装備される衝突回避システムをご紹介します。

Volvo ヒューマンセーフティ

衝突回避支援システムはボルボがCITY SAFETYを2008年にいち早く市販車に採用したのが始まりです。スバルのアイサイト登場後、歩行者認識を強化したHUMAN SAFETYを2011年に市販車に搭載。その後各国の輸入車メーカーも続々と衝突回避システムを発表しています。

Volvoシティセーフティ カメラ部分

■ボルボ CITY SAFETY(シティセーフティ)/HUMAN SAFETY(ヒューマンセーフティ)

いち早く自動ブレーキ機能を備えたのがボルボのCITY SAFETY/HUMAN SAFETY。赤外線レーザーで前方を走行する車両を監視しブレーキをコントロールするのがCITY SAFETY。低速域でシングルカメラとミリ波レーダーにより歩行者までも識別して自動ブレーキを作動させるHUMAN SAFETY。いずれも前方を監視し危険が迫った場合にはブレーキを掛けるシステムです。HUMAN SAFTYはミリ波レーダーに加えシングルカメラで歩行者を認識するのが特徴。カメラとレーダーの両方で認識することでそれぞれの長所を生かしたシステムとなっています。

監視デバイス:シングルカメラ・ミリ波レーダー・赤外線レーザー 自動ブレーキ:自車速35キロ以下で停止(歩行者認識) 付随機能(セーフティパッケージ):全車速追従クルーズコントロール・後側方監視・車線逸脱警報・後左右接近警報・ヘッドランプ自動切り替え・道路標識情報表示 価格:20万円(セーフティパッケージ)※XC60は15万円 搭載車種:S80・XC70・S60・V60・V70・XC60

 

 フォルクスワーゲン Front Assist Plus

■フォルクスワーゲン Front Assist(フロントアシスト)

レーザーセンサーにより、前方の障害物を検知しブレーキを掛けるシステム。付随機能として追従クルーズコントロールも装備されますが、up!には必要最低限の機能としてシティエマージェンシーブレーキのみを搭載しています。システムがシンプルな構成で低価格で装備できるのが特徴。ミリ波レーダーを使用しているため、悪天候時などで威力を発揮する一方で歩行者等の認識はできません。トゥアレグハイブリッドに標準装備されるFront Assist Plus(フロントアシストプラス)では30キロ以上の前走車も検知します。

監視デバイス:ミリ波レーダー 自動ブレーキ:自車速30キロ未満で停止 付随機能:全車速追従クルーズコントロール(up!を除く) 価格:42万円(トゥアレグ V6 テクノロジーパッケージオプション価格) 搭載車種:up!(シティエマージェンシーブレーキのみ)・パサート オールトラック・CC・トゥアレグ(Front Assist Plus)・トゥアレグハイブリッド(Front Assist Plus)

 

キャデラック セーフティ テクノロジー

■キャデラック オートマチック ブレーキ

キャデラックのATSおよびSRXクロスオーバーに搭載されるのが最新のセーフティデバイス。フロントにシングルカメラ、短距離レーダー2つ、中・長距離レーダー、超音波センサー4つを備えるほか、なんとリヤにもシングルカメラ、短距離レーダー3つ、超音波センサー4つを備え、前方のみならず、後退時の自動ブレーキも装備します。超音波センサーや短距離レーダーは駐車場等での後退時に後側方から接近するクルマを検知するほか、後退時に輪止めの無い駐車場等で、ついうっかり壁と接触なんていうことも防止してくれます。 監視デバイス:シングルカメラ(前・後)・短距離レーダー(前・後)・中・長距離レーダー・超音波センサー(前・後) 自動ブレーキ:車速非公開(おおよそ自車速30キロ前後)で自動停止  付随機能:全車速追従クルーズコントロール・後側方監視・車線逸脱警報・後左右接近警報・前方衝突事前警報 価格:60万円(キャデラックATS オートマチックブレーキ搭載グレード、非搭載グレードの価格差) 搭載車種:キャデラックSRXクロスオーバー Premium・キャデラックATS Premium

 

 BMW 7シリーズ

■BMW ドライビング・アシスト・プラス

 BMWのフラッグシップモデル7シリーズに搭載されるのがドライビング・アシスト・プラス。今回のマイナーチェンジで新たに搭載されたシステムは、ミリ波レーダーとシングルカメラを使ったシステムで、ミリ波レーダーのみでの認識と比較して、より前走車の認識能力と応答時間の向上を図ったシステムです。自動ブレーキは40km/hまで衝突回避能力があるとされており、現在市販車に搭載されているシステムの中ではトップレベルを誇ります。ただしフロントカメラは歩行者などには対応していないため、低速域の市街地などではクルマ以外の認識能力はスバルやボルボのシステムに一歩譲るカタチとなるようです。

監視で倍し:シングルカメラ・ミリ波レーダー 自動ブレーキ:自車速40キロ以下で停止 付随機能:全車速追従クルーズコントロール・車線逸脱警報・前走車接近警告機能 価格:29万円(740i/740Li アドバンスドセーフティパッケージ)
搭載車種:7シリーズ(740i/740Liにはアドバンスドセーフティーパッケージとしてオプション設定)

 

国産車に比べ、設定されている車種も各メーカーの上位モデルが多い中、プリクラッシュブレーキシステムの先駆者とも言えるボルボは、多くの車種に設定されています。また、プリクラッシュブレーキシステムはパッケージオプションとして効果になりがちな装備ですがフォルクスワーゲンも低価格で提供できるよう、up!にはシティエマージェンシーブレーキのみを搭載している所にも注目です。

今後は減速のみで衝突被害を軽減するブレーキシステムも、順次完全停止ができるように進化を遂げるメーカーが続々登場するようですが、輸入車の場合はいかに低価格で装備できるかが国産車に対抗するポイントといえるのではないでしょうか?販売台数が国産車に比べ少なく、バリエーションを多く設定できない点がネックとなりますが、up!のように機能を絞って搭載することで低価格を実現している輸入車もあります。
輸入車の衝突回避支援システムには、国産車にも引けを取らない性能と、低価格化に期待したいですね。

(井元 貴幸)