既報のとおり次期フィットも「ぶつからないクルマ」になるようですが、安全など先進技術の開発→商品化は一朝一夕になるものではありません。先行車に追随するクルーズコントロールや駐車の自動化、車線逸脱機能などは筆者も10年くらい前に日産の追浜ですでに体験しています。
ボルボV40に搭載されたCTA(クロス・トラフィック・アラート)は、後退時にリヤバンパー内のレーダーセンサーが左右から近づく車両を検知します
数年前からこうした次世代安全技術をようやく享受できるようになりましたが、今後は「アイサイト」や「シティ・セーフティ」などの衝突防止・軽減機能が標準化、あるいはオプションなどで幅広く採用されるはずです。
ボルボ本社とスウェーデンの保険会社のレポートによると、「シティ・セーフティ」装着車は、装着していないクルマよりも23%追突前面衝突が少ないデータが示されているとのこと。ボルボでは、新型V40に搭載されている「シティ・セーフティ」を30km/hから50km/hに作動速度域を高めています。
次期Sクラスやビッグマイナーチェンジを受けるEクラスにも、50km/h以内で作動するオートブレーキが採用されますが、前後に設けられた5つレーダーと前方のステレオカメラ、障害物検知用のソナーをフル動員させることで前方だけでなく、後方など車両の全方位をカバーする安全技術が搭載されます。
次期Sクラスにはレーダーやセンサー、ステレオカメラを搭載し、それらをネットワーク化することで全方位の安全確保と、将来的には自動運転も目指しています
ステレオカメラを使うか、あるいはレーダーかレーザーか、もしくは組み合わせるかなど選択肢は多彩に揃いますが、長短はそれぞれあり、また車両価格によって搭載される技術が差別化されるのは今後より明確になるはず。
また、レクサスGSの「オートマチックハイビーム」や次期Sクラスの「アダプティブハイビーム」など、一部車種で搭載されはじめたロービームとハイビームの自動切り替え機能も搭載が進むでしょう。
レクサスのオートマチックハイビーム。オーリスなどのCセグメントの一部にも採用が進んでいます
ホンダがインターナビを活用した「安全運転コーチング」や危険な交差点をインターネットの地図上に公開した「SAFETY MAP」なども地味ではありますが、使う人が着実に増えれば安全につながる技術といえます。
ボルボV40の「歩行者用エアバッグ」などの新しいパッシブセーフティも登場していますが、まずは予防安全であるアクティブセーフティのさらなる進化がこれからのスタンダードになるはずです。
(塚田勝弘)