シートベルトは求めず、幼児専用車(園児バス)の車両安全対策をとりまとめたガイドラインが決定

自動車の安全性はハードウェア、法規などのルールによって年々改善されています。すでにチャイルドシートの義務化は馴染み深いところですが、幼児専用車(園児バス)については、置いてけぼりの状態が続いていました。

もちろん、放置されていたわけではありません。平成23年度より検討されてきた「幼児専用車の車両安全性向上のためのガイドライン」がとりまとめられ、国土交通省に報告されたということです。

具体的な提言は次のようになっています。

・シートバックの後面に緩衝材を装備。

・シートバックの高さを現状より 100mm 程度アップ。

・座席ベルトは、幼児専用車に装備される幼児用座席に適した座席ベルトが開発されるまで、装備を求めず。

・座席間隔は、現状のまま。

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シートベルトの義務化が先送りにされたのは問題のようにも思えるかもしれませんが、実際には衝突時にシートベルトが腹部に食い込むことによる内臓破裂やシートベルトで固定している腰を軸として頭部を前席にぶつけることによる怪我のリスクが、シートベルトによる車外放出を防ぐというメリットよりも大きいということです。

そのため、シートベルトなしでも頭部の怪我を抑制できる緩衝材の装備や前席乗員との衝突を防ぐため背もたれの延長などが提言されているというわけです。

なお、「自動車製作者等は、本ガイドラインを踏まえた安全対策を講じた車両の購入を望む使用者に対応できるよう、平成 26 年度を目途に車両開発を行なうこと」、「自動車製作者等は、本ガイドラインを踏まえた安全対策を講じた緩衝材の後付け装備を望む使用者に対応できるよう、平成 26 年度を目途に部品開発を行うことが望ましい」とされています。

ちなみに、幼児専用車の事故における死傷者数は平成15年~20年において、死亡0名、重傷4名及び軽傷565名とのことです。また、今回のガイドラインによる安全対策で前面衝突事故による怪我の約76%の被害軽減が可能になるといいます。

このガイドラインにもとづいて、国土交通省は、幼児専用車に適した幼児用座席の開発や改良などの安全対策について、自動車メーカー等に対応を要請するそう。幼児専用車の更なる安全性向上に期待しましょう。
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(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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