〈MondayTalk星島浩/自伝的爺ぃの独り言34〉 アテンザ・ディーゼルに感心した後で…
モータリゼーションが成熟期に入った今や、新型車が出たからといって、ごく一部を除き、誰もが飛びついて買いに走ることはなくなった。
むろん今でも注文して半年以上待たされるケースがなくはないが、だからと、メーカーが即、増産設備を整えることもほとんどない。やがて需要が落ち着くと知っているからだ。
飛びつく—-ほどではないが、最近試乗した新型車ではアテンザ・ディーゼルが「いたく気になるクルマ」だった。これなら3車検、今後7年以上、乗り続けてもいいんじゃないか、と思う。
エンジンを始動して、ボンネットを開けると「やっぱりディーゼルだ」と分かるが、閉めればちょい元気なガソリン車より静かだもの。早朝に出かけるとき、深夜の帰宅にも気兼ねは要らず。CX-5と比べても静かだ。
マツダ・アテンザ。ディーゼルはかなりいい。
走り出せばアクセル応答性に優れ、踏み加えたルクの盛り上がりもガソリン車を凌ぐ。6速ATとの相性も抜群だ。ときにディーゼルエンジンはATのトルク変換域で違和感を覚えるケースがあるもの。ここまでディーゼルエンジンとトルコンとの相性を煮詰めた開発陣は最敬礼ものだ。
実用燃費を測るほど走っていないが、CX-5が16㎞/L強だった実績に照らして17~18㎞/Lはカタいだろう。だとすると、ガソリン車ハイブリッドでなくても良ろしい。たぶんハイブリッド代よりディーゼル代が安い。
経済成長志向余波でガソリンが右上がりの150円/L。軽油も125円を超える勢いだ。つれて恒久的に雇用が増え、給料が上がって可処分所得に余裕ができればいいが、1、2年では無理だろう。むしろ消費税率引き上げ増額が先にやってくるかもしれぬ。その意味でもアテンザ・ディーゼルの発売タイミングは当を得ている—-3車検=7年以上、乗り続けられるんだもの。
ハンドリング感覚はトップレベル。しなやかなサスペンションの持ち主なのだから、引き締まった感じのタイヤに、もうちょいソフトな感触があれば、乗り心地は更に良くなるだろう。
デザインも良し。欲を言えばセダンのトランクリッド開口幅がワゴン並みでありたかったのと、白など明るいボディ色だと顔がキツく映ること。
もう一つはコンパクトカーではない。かといってクラウンやマークXほどの車格位置にあるともいえない。それらに代わって、誇らしく乗っていられるような、社用・公用車寄りの貫禄を具えてもらいたいけどネ。
ところで。
わが初代インサイトの車検が無事終了。愛用14年目に入った。
こんなに長く1台のクルマを乗り続けたのは初めてだが、システムバッリー交換後は以前にも増して好調。積算11万㎞が近づいてなお、生涯燃費が20.3㎞/Lに安定してくると、手放したくなくなる—-いつまでも古いクルマに乗っていて恥ずかしいなんて思わなくなったし。
そう思って、わが集合住宅の駐車場を見回したら、13年なんか自慢にならないと気づく。挨拶を交わす程度で、お仕事も知らず、いずれも老齢化が進んでいるものの、お出かけの節は気品を感じるシーンがある。
ベンツはEクラスだけで4台を数える。その内2台が15年以上愛用なさっている。レクサスに代わる前のセルシオも健在だから、とても13年を経たインサイトなんかエラそうな顔できるもんじゃない。
際だって尊敬に値するクルマもある。
わがインサイトの前に駐まっている同じく赤の、ポルシェ911だ。
リヤボディのネーミングは黒文字のカレラ。カレラ4でははなく、カレラ2とも書かれていないが、初期ティプトロニックATとの組合せ。確かな記憶はないものの、私がNSXを買う前だもの、ゆうに20年以上。
しかも、そのオーナードライバーが女性なのである。
5年前まで私が仕事場に使っていた部屋の直ぐ近くにお住まいで、年齢を知る由もないが、どう見ても当時すでに40歳代の貫禄を具えていらっしゃったので、今は、とっくに還暦をお迎えと想われる。
話から察するに、お勤め先が銀座。おそらくクラブ経営者だろう。
平素は年始のドライブ旅行? を含めて普段着だが、夕刻になると和服と草履姿で乗り込み、文字通り颯爽とお出かけだ。窓から見下ろせる位置なので、そのカッコ良さといったら—-。団地でも定評あり。
キラキラ感はなく、落ち着いたレッドカラーで、洗車なさるシーンは見ないが、綺麗で、常に一発始動。即、発進できるから程度良好だ。
ただし私が書けるのはここまで。ご本人の了解を得ていないし、これ以上書いたらプライバシーが特定されてしまう。
ほんとうはインタビュー記事なんか、読みたいんだけどネ。★