ランドローバーの中でも最も悪路が似合うディフェンダーは、1990年に登場したクラシカルなモデルです。日本ではメルセデス・ベンツのGクラスがマニアだけでなく、高級車として捉えられているのに対して、ディフェンダーはもっと硬派な、ある意味キワモノ的な存在ともいえるでしょう。ランドローバージャパンでは残念ながら現在は扱っていません。
そんなディフェンダーをEVのベース車として活用し、新型研究車両としてジュネーブモーターショーでも公開されるそうです。300Vのリチウムイオン電池をエンジンの替わりにフロントに搭載し、出力とトルクは70kW(94bhp)/330Nm、航続距離は50マイル以上ですから約80kmになります。
ディフェンダーらしいのが、オフロードでの低速走行なら最長8時間充電せずに走行できることで、荒野や砂漠などに急速充電器があるかは別にして4時間で充電が終了。3kWのポータブル電源だと10時間で充電が完了するとのことです。
EVでもデフロックが備わる4WDであることはもちろん、減速比2.7:1の既存のシングルギアボックスを使い、モーターの利点を活かして発進時から最大トルクを発生させるという、分厚いトルクが必要な悪路に適任なEVに仕上がっています。
しかもテストでは、最大13°の傾斜地で12トンもの連結トレーラーを牽引し、水深800mmの渡河もこなすというタフネスぶり。いつかこうした本格クロカンもEV化される時代がくるかもしれません。
(塚田勝弘)