最近、スバルが「アイサイト」のCMを数多く流したり、かなり技術的な内容を新聞などに出稿したりしています。いわゆる「ぶつからないクルマ(ぶつかりにくいクルマ?)」ですが、フォルクスワーゲンUP!にも標準装備されて話題になりました。
また、ダイハツもムーヴカスタムRSに30万円超のオプションで設定していましたが、マイナーチェンジを機に4グレードに標準化し、非装着グレードとの価格差も5万円程度に収めています。
日本で「ぶつからないクルマ」を最初に実用化させたのは、安全に驚くほどお金と手間をかけるご存じボルボ。とくに最近のボルボは乗り込む際にまず感じるのが、分厚いサイドシルと太いピラーで、前者は乗降性、後者は視界やデザインに制限をもたらす可能性がありますが、とにかく安全は譲れないわけです。
前置きが続きますが、「ぶつからないクルマ」の実用化を日本で最初に実現したのも同社。同社が日本でも「シティ・セーフティ」の認可を得るため、国交省に通い、イギリスの保険会社の人間まで来日させて、その効果を保険会社の視点から説明させたそうです。
「シティ・セーフティ」は全世界標準化を目指すだけに、新しいV40にももちろん標準装備されています。最新世代のそれは、従来の30km/h以下から50km/h以下へと作動速度域を向上させています。
ほかにも安全装備はまさに満載で、ボルボお馴染みの「BLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)」は、リヤバンパーにレーダーを埋め込み、後方9.5mまでの死角を監視し、死角にクルマが入るとドアミラー内側のLEDが点灯するもので、新たに「LCMA(レーン・チェンジ・マージ・エイド)」を追加。車両の両側車線から近づく車両をドライバーに知らせてくれます(衝突までの時間が3.5秒以内、70m以内で接近する車両を検知)。
ボルボ初搭載となるのが、CTA(クロス・トラフィック・アラート)。これは混雑している駐車場でバックから出る際に、左右から近づいてくるクルマの存在をドライバーに知らせる装備。リヤバンパーのレーダーが半径約30m、角度80度の扇状範囲をセンシングし、検知可能な範囲は小さくなるものの、自転車や歩行者も検知できます。
ほかにも、65km/h以上で車線を逸脱すると、軽い力でステアリングを修正したり、ステアリングを振動させたりしてステアリング修正を促す「LKA(レーン・キーピング・エイド)」/「LDW(レーン・デパーチャー・ウォーニング)」も装備しています。こちらはステアリング修正もドライバーに介入をあまり意識させないもので、振動は凹凸のあるラインを踏んだ際に伝わる振動や音くらいで、十分伝わるのと同時にドライバーがパニックを起こして急な操作を行わない程度に抑えられている印象です。
(塚田勝弘)