①‐c 低燃費タイヤの転がり抵抗が少なくなるってこういうこと
市販のエナセーブEC202と、同タイヤに比べ転がり抵抗が50%しかない転がり抵抗低減タイヤをプリウスに履いて、スロープから惰性で転がし、転がり抵抗の違いを比べてみた。
スロープを下りたところの初速は20キロ弱。惰性で走らせていくとエナセーブEC202は83.0m、50%低減タイヤが122.5m。その差は39・5m。計算すると47%ほど余計に転がっている事になり、タイヤの転がり抵抗の低減量とほぼ一致する。しかも、じつは低転がりタイヤのほうは、スロープを下りた時のクルマの向きが微妙に悪く、修正舵を当ててしまったのが、距離が伸びなかったのにこれほどの違いが出た。
このくらい転がり抵抗が少なくなると、そよ風のあるなしでも空走距離に差が出てしまうほどだ。
タイヤの転がり抵抗の違いは、中高速域よりも低速域のほうが判りやすい。クルマが影響を受ける2大ドラッグは、転がり抵抗と空気抵抗。厳密にはどの速度域でも空気抵抗も転がり抵抗も影響を及ぼすが、走りに対する比率でいうと80km/hくらいが境で、それよりスピードが低いと転がり抵抗の影響が大きく出やすく、スピードが高いと空気抵抗の影響を受けやすくなるといわれている。
転がり抵抗の良し悪しはとくにクルマが止まる寸前の10km/h以下くらいから止まるまでの様子が特徴的。転がり抵抗の少ないタイヤはいつまでも転がっている感じ。比較的平らで、路面も舗装が滑らかだと、路面の微妙なアンジュレーションでタイヤが軽く転がったり止まりそうになったりが判るくらい。
もちろん、わかりにくいけれど高速でもタイヤの転がり抵抗の少なさは現れている。たとえば時速100キロで巡航しているときのスピードの維持のしやすさ。アクセルの踏みこみ量が以前よりも明らかに少なく、クルマが軽々と、スイーッと走っていてくれるような感じを受けるはず。
メーカーが何%転がり抵抗低減と謳っている場合、基準タイヤに対してかなり正確に表示分だけ転がり抵抗が少なくなっているし、それが今回の転がり抵抗テストのようなことではっきり出てくるのだ。
ちなみに実際の燃費への影響は、転がり抵抗Aのタイヤで4%程度。AAAだと6~7%くらいの効果が望めるのではないかと思う。
(斎藤 聡)