タイヤが極端に軽くなると乗り心地と操縦性がとても変わった!【ダンロップ“未来のタイヤ”試乗-2】

タイヤが極端に軽くなるとどうなるか? 従来に比べ重さ約半分となる超軽量タイヤをプリウスに装着して走らせてみた。(写真は開発中のため画像処理してあります)

 

じつは、プリウスはタイヤのインプレッションを取るにはまことにやりにくいクルマなのだ。のっけから言い訳めいているが、タイヤのグリップの感触が手元に届きにくいからだ。パワーも動力と駆動輪がダイレクトにつながっていないので、アクセル操作に対するリアクションが判りにくい。

だからタイヤの重さの違いなんてわかるのか? と思って走りだしたのだが、まずその走りだしから差があった。クルマがスーッと軽々と走り出すのだ。通常のタイヤから省燃費タイヤに履き替えたくらいの違いがある。加速の感じも心なしか軽快だ。

乗り心地については、これはタイヤのケース設計から変わっているはずなので、一概には言えないが、試乗した印象からすると、小さな凹凸を拾ってタイヤが上下するような振動が感じられる。

一般的にはタイヤやホイールは軽いほうが操縦性にも乗り心地にもいいと言われているが、小さな凹凸を拾うような場面に関しては、タイヤが軽いと振動としてボディに伝えやすいという傾向がある。

欧州車などでアルミホイールを軽量化すると乗り心地が悪くなったように感じることがあるのもこのためだ。

ただし大きめのギャップやコブを乗り越えた時はバネ下重量が軽くなる分、路面への追従性が良くなって乗り心地は良い方向に出る。

軽量化したタイヤの効果でもう一つ大きな影響が出るのが操縦性だ。回転するタイヤ自体が軽くなっているので、慣性重量は二乗倍で効いてくるので、軽くなればそれだけタイヤの応答が良くなるのは理屈通り。ハンドルを切りだしたときの軽快さ、カーブでハンドルを切りたしたときの応答の良さに現れる。試乗した軽量タイヤも、テストコースのコーナリング中にハンドルを握りこぶし一個分切り足すと、スーッとノーズがインに入るくらい応答が良くなる。

これが純正装着のタイヤだと、グラッと動くくらいでノーズがインを向こうとする仕草はするが実際には鈍くほとんど向きを変えない。

この応答の出方はプリウスならではのもので、ずっと昔、やはりダンロップの試作タイヤでウルトラ・ライト・ウエイト・タイヤをBMWの5シリーズに装着して試乗したことがあったが、このときはタイヤの応答が鋭すぎて、レーンチェンジでもハンドルの切り方に気を遣うほど鋭い応答が出ていた。サスペンションを軽いタイヤ用にセッティングし直さないと怖くて走れない…というほどだった。タイヤのキャラクターやチューニングの仕方によっても応答の出方はだいぶ変わってくるので、すべての軽量タイヤがそうなるわけではないが、傾向としては足元が軽い印象になり、応答はシャープな傾向になる。プリウスに装着した軽量化タイヤも同様の特性を持っていた。

 

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(斎藤 聡) 

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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