難しいタイヤ選びがとても簡単にできてしまう方法を発見!

サマータイヤの選び方といえば、かつては絶対的にグリップ性能重視であったり、高速走行での静粛性だったりしたものですが、もはやそういったドライバーに与える気持ちよさだけを追求できる時代ではなくなっています。

クルマ本体同様に、タイヤ選びでも環境性能は無視できません。20世紀ならともかく、現代においては環境性能の指針となる燃費性能が重要課題といえそうです。

 

さて、エコ・ドライブの知識があれば、どんなタイヤでも空気圧を高めにすれば燃費性能がプラス傾向になることは常識でしょうが、そうした状態は制動能力など安全性にネガティブなことも、また知られています。

これは、エア圧を高めることでタイヤの変形を抑えることが燃費性能にポジティブに働くという理屈。実際、タイヤ転がり抵抗の9割はタイヤの変形によるといいます。

一方で、転がり抵抗(タイヤの変形)はグリップ性能とリンクしています。つまり、燃費性能を稼ごうとすると、安全性能とくにウェット路での制動能力などグリップを失ってしまうというのが、これまでの常識でした。


そうした相反する燃費性能と制動能力を両立させるための技術革新が、近年のトレンド。そうした性能を、わかりやすく表現しているのが、『タイヤラベリング制度』です。

これは、タイヤに貼られたラベルに、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の両性能をグレーディングシステム(等級制度)に基づき表示するというもの。転がり抵抗を、AAA、AA、A、B、Cの5段階。ウェットグリップ性能をa、b、c、dの4段階で評価しています。そして、転がり抵抗性能の等級がA以上で、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にあると「低燃費タイヤ」と定義されるのです。

ちなみに、グレーティングシステムの評価については路面や保管方法まで厳密に決められた条件の元で、80km/hから20km/hへの減速度を測定するなどの試験方法によるものということです。また、指定タイヤ・エア圧はノーマルタイヤで180kPa。比較的低いエア圧で試験が実施されているということです。各メーカーが勝手に主張しているというわけではありません。

 

こうした厳しい試験によって燃費性能と制動能力の両方に優れたAAAかつaを「AAA-a」と表現することもあります。この「AAA-a」という称号を市販タイヤとして初めて得たのが東洋ゴム工業の『ナノエナジー・ゼロ』。

NANOENERGY 0(ナノエナジー・ゼロ) 195/65R15 91H

新開発の「 スーパーグリップポリマー」によりウェットグリップ性能を向上させると同時に、パターン浅溝化や高剛性ベルトの採用による転がり抵抗の低減が「AAA-a」の国内市販初タイヤというマイルストーンにつながったのです。

※福岡、佐賀エリアの一部店舗を除き

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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