デミオEV、エンジンがなくてもZOOM ZOOMなワケ

SKYACTIVテクノロジーで内燃機関の究極を目指しているイメージの強いマツダですが、同社の成長マップでもあるビルディングブロック戦略によれば、2015年には電気自動車を頂点とした技術的ピラミッドを描いています。

2012年10月にリース販売が始まるデミオEVは、そうした電動自動車のZOOM ZOOM第一弾といえる存在ですが、もちろんZOOM ZOOMにふさわしい走りを目指しているといいます。

その気持ちのいい走りにつながるポイントは2つあります。

ひとつは、電気モーターならではの滑らかでリニアな加速感。

ガソリンエンジン+変速装置よりも緻密な制御が可能な電動モーターの特性を活かした自然な発進フィールを目指したといいます。

また、デミオEVの特徴として『巻線切り替え式モーター』を採用したことがあげられます。

磁石を使った交流モーターというと回り始めで最大トルクを発生し、そのままスムースに回り続けるというイメージもありますが、トルクの太さと許容回転の高さは両立しないものです。そこでデミオEVでは巻線を切り替えるモーターを採用することで、両立させたといいます。これが発進トルクからスムースに伸びていく感覚につながっているのでしょう。

もうひとつが、ハンドリングと乗り心地を向上させる重量バランス。

床下にバッテリーパックを搭載したことで、前後上下の重量バランスをエンジン車に比べて改善しています。とくに重心位置が車体中央に近づいたことは軽快なハンドリングにつながったということです。

さらに、EVは重くなるというイメージもありますが、バッテリーケースをアルミ製とするなどして、ベース車プラス190kgの、車両重量1180kgを実現したというのも、走りのよさにつながっているとのこと。

こうしたモーターの工夫、車両重量での配慮は、EVとしての基本性能ともいえる満充電からの航続距離を200km(JC08モード測定)と長くすることにもつながったといいます。三菱i-MiEVや日産リーフといった先行モデルをキャッチアップする、マツダ・デミオEV。さすがのZOOM ZOOMな電気自動車です。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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