BMW 6シリーズ グランクーペに乗って感動しました【BMW 6series GRANCOUPE】

最近、高級車に接する機会があまりなく、しかもスポーティな車種で高級車というのは最後にいつ、何に乗ったのかもよく覚えてないほどでした。

それもあるとは思いますが、BMW 6シリーズグランクーペの出来の良さにはちょっと驚きました。

6シリーズグランクーペは、クーペ的なスタイルの4ドアで、それなりにBMWらしくスポーティに仕上がってるんだろうくらいに思ってました。

けれど、そうじゃなかった。

まず、気付くのが乗り心地の良さ。

乗り心地って人によって感じ方が違うとは思いますが、6シリーズグランクーペはシッカリとしてフラフラしないながら、凸凹の角はちょっと丸めてイヤな感じでなく人に伝えるイメージでしょうか。

試乗車はフロント245/40R19、リヤ275/35R19といった、一昔前ならオートサロンに出展するチューンドカーが履いてるようなMスポーツパッケージ(標準は前後とも245/45R18)のタイヤサイズながら、それも重量面で不利なはずのランフラットタイヤながら、実にしなやかに足が動いてくれます。

ちょこっと動いただけで、「あー、やっぱイッセンマンのクルマってこうあるべきなのね」と実感しました。

さらに、箱根の山道で少し強めにアクセルを踏んでも、踏んだ量に応じた思っただけの速度に加速します。もちろん、考えナシに思い切り踏めば思った以上に加速します。試乗したのは640i、つまり6気筒のパワー控えめモデル。さらにハイパワーの650iもあるそうなんですがね。

さらにさらに、やや大丈夫かな?というくらいの気持ちでコーナーに入ったりしても、ゆったりとした気持ちでコーナーに入ったりしても、これまた思い通りに曲がってくれます。実に気持ちいいです 。

このクルマには、フロントタイヤが速度などに応じてステアリングの切れ具合が変わったり、リヤタイヤも速度に応じて全輪の角度と同じ、または逆方向に切れるという複雑な動きをしているらしいんですが、それが実に自然な動きをしてくれてます。いや、自然というより、不思議なくらい思った方向に向かってくれるような感覚ですね。かといって不自然だったり違和感だったりじゃないんです。

「思った通りクルマが動いてくれたらいいな。だけど、ボクの経験上、これくらい切ったときは大体クルマが向きを変えるのはこんなもんだろう」と思ってたら「あ、ホントにこれくらい切ったらいその通り動いてくれた!」といういい意味での裏切りをやっちゃってくれます。

クルマはこんなに進化してたんだ!って驚きました。

乗る前はカリーナEDみたいなもんじゃない?と思ってましたが、言うまでもなく別次元のものでした。

いや、当時のトヨタがコロナやセリカと部品を共通にして背の低いセダンを作ったらカリーナEDになった。じゃあ、現在のBMWが5シリーズや6クーペと共通部分を持ちながらもスタイリッシュな4ドアを作ったからその思想がそのまま昇華されていったのでしょう。

久しぶりに「こりゃスゴい」と思えるクルマに乗りました。イッセンマンを払う能力はありませんが、高くはないかなと分不相応にも感じました。

「乗りたい、動かしたい、走らせたい」と思わせるクルマを作るには、その思いを持ち続けることなのでしょう。「クルマの楽しさを若者に伝えたい」といろんなところで聞きますが、その原点をホントに持ち続けているのか、と自分自身にも問いただしたい、気持ちよかったけどちょっと考えさせられた6シリーズグランクーペなのでした。

公式サイトはコチラ>>>
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/newvehicles/6series/gran_coupe/2011/showroom/index.html

(小林和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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