フィットEVは、北米でもっとも電費のいい電気自動車【動画】

北米市場向けに今夏発売予定の「フィットEV」が米国環境保護庁(EPA)から、交流電力消費率(電費)29kWh/100マイル、ガソリン等価換算燃費118MPGeという、電気自動車として米国最高の電費性能を認められたことが発表されました。

100マイル(約160km)を走るのに、29kWhの電力を使うということで、日本風の電費表記にすると181Wh/kmとなります。この数字だけでカタログ値で比べると、日本仕様のリーフやi-MiEVに劣るように見えますが、アメリカEPAの測定でのライバルの電費は以下のようになっています。

日産 リーフ:34kWh/100ml
フォード フォーカスEV:32kWh/100ml
三菱 i-MiEV :30kWh/100ml

この表記、数字が小さいほど電費に優れるということですから、フィットEVの29kWh/100mlという数字は、たしかに全米ナンバーワンの電費性能といえるわけです。ちなみに、北米仕様のi-MiEVはワイドボディで日本や欧州仕様とは異なるボディとなっています。

このライバルを、バッテリーの総電力量 と電費から考えられる航続距離を並べると次のようになります。

ホンダ フィットEV:20kWh 82マイル
三菱 i-MiEV:16kWh 62マイル
フォード フォーカスEV:23kWh 76マイル
日産 リーフ:24kWh 73マイル

航続距離を伸ばすためにはバッテリー搭載を増やせばいいと思いがちですが、バッテリーを積むほど重くなってしまうので、バランスが重要。フィットEVはコンバートタイプながら、車体サイズとバッテリーのバランスをとったことで電費と航続距離のちょうどいいところを見つけたといえそうです。

なお、フィットEVが床下に搭載するバッテリーは東芝製リチウムイオン電池、SCiBといわれています。

さらに、このフィットEVは普通充電コネクター(J1772)からの充電で、エンプティから満充電まで3時間以下で収まるというのもアピールポイントのひとつ。20kWhの電力量ながら3時間というのは非常に短いと感じますが、これはレベル2と呼ばれる240V・30A級の充電方法にオンボード対応(6.6kW)したことによるものと想像できます。ですから、120V15A級のレベル1充電では満充電まで15時間はかかるということです。

さらに、このフィットEVは、あの燃料電池車「FCXクラリティ」譲りのハイパワー同軸モーターを搭載しているというのも注目点。モーター軸を中空シャフトとして、そこにドライブシャフトを通すことで、コンパクトにデファレンシャルと駆動モーターを一体化した、この同軸モーターは92kW、256N.mというスペックを誇ります。また、ピーク出力に影響するバッテリー最高出力は100kW、最高速は90マイル(144km/h)、CR-Zなどのハイブリッドカーでもおなじみの3モード・ドライブセレクトも備わっていると公表されています。

 

■2013 Honda Fit EV Rated by the EPA at 118 MPGe; Receives Best-Ever Consumption Rating of 29 kWh/100mi
http://hondanews.com/channels/corporate-headlines/releases/2013-honda-fit-ev-rated-by-the-epa-at-118-mpge-highest-fuel-efficiency-rating-ever-1 

■北米仕様の「フィットEV」が 米国最高の電費性能を達成(本田技研工業)
http://www.honda.co.jp/news/2012/4120608.html 

日本での発売にも期待したい、コンパクトEVの大本命が登場した、といえそうです。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる