BRZ用FA20改で300psとなったレガシィ「2.0GT DIT」試乗記!

2.0Lで300psもの高出力を発生する「DIT」エンジン搭載の話題のモデル、レガシィ「2.0GT DIT」に試乗する機会を得たので、早速レポートしてみたいと思います。

 

その前にまずは「2.0GT DIT」エンジンのスペックおさらいから。

・FA20型 水平対向4気筒 2.0L DOHC16バルブターボ
 最高出力 300ps/5600rpm
 最大トルク 40.8kg・m/2000~4800rpm

車両車重が1560kgなので、PW:5.2kg/ps、TW:38.2kg/kg・mとなります。
この数値が如何に凄いかを実感すべく、他のスポーティモデルと比較してみましょう。
(注)PW:パワー・ウエイトレシオ TW:トルク・ウエイトレシオ

・VW Golf R     PW:6.0kg/ps、TW:45.4kg/kg・m (2400~5200rpm)
・Lexus GS350     PW:5.2kg/ps、TW:42.6kg/kg・m(4800rpm)
・Audi TTS       PW:5.4kg/ps、TW:41.2kg/kg・m(2500~5000rpm)
・BMW M3       PW:3.9kg/ps、TW:40.2kg/kg・m (3900rpm)
レガシィ 2.0GT  PW:5.2kg/ps、TW:38.2kg/kg・m (2000~4800rpm)
・WRX STI       PW:4.8kg/ps、TW:34.7kg/kg・m (4400rpm)

加速性能を左右するトルク・ウエイトレシオの順に並べてみると、VWの「Golf R」や「GS350」を凌ぎ、同社の最強モデルである「WRX STI」に迫っている事が判ります。

次にトルクバンドを見ると、排気量2.0Lにして2000rpmという低回転からいきなり40.8kg・mもの最大トルクを発生、4800rpmまでフラットに維持する驚きのポテンシャルを示しています。

この「2.0GT DIT」用のエンジンはBRZ用と同じ「FA20」型を名乗っていますが、実際には「吸気ポートインジェクター」を持たない純粋直噴方式の採用や、ターボ化に伴うピストン、コンロッドの強化、専用エンジンブロックの採用などスバル独自性の強い内容となっているようです。

それでは試乗レポートに話を移しましょう。

以前にご紹介した「スバルBRZ市販車発売ホヤホヤ試乗レポート」と併せて読んで頂けると面白いと思いますが、「FA20」エンジンの味付けはかなり異なります。

具体的にはBRZがスポーツカーらしい「やんちゃ」な味付けなのに対して、レガシィ2.0GTはスバルのフラッグシップモデルだけあって「オトナ」の雰囲気を漂わせています。

走り出して直ぐに実感するのがキャビン内の圧倒的な「静粛性」。エンジンルームからの騒音がかなりシャットアウトされており、高回転まで回しても静粛性をしっかりキープ。大袈裟に言えば聞こえて来るのはタイヤのパターンノイズぐらいです。

標準装備するビルシュタインのショックは非常に滑らかな乗り心地を提供してくれます。路面の凹凸をうまくいなしながらも引き締まった絶妙なフィーリングが◎。

ステアリングに装備された「SI-DRIVE」で燃費に配慮した「I」モード(インテリジェント)を選択すると「DIT」が秘める強大なパワーをあえて控え目に発生。キックダウンのレスポンスもかなり穏やかに抑えられています。

一方、走りを意識した「S」モード(スポーツ)、更にはレスポンス重視の「S#」モード(スポーツシャープ)をチョイスしてアクセルを踏み込むと、いわゆる「ターボラグ」が影を潜めて強大なトルクに任せて一気に加速する豪快な走りに一変します。

それでもキャビンの静粛性が高いので、あくまで「ジェントル」な雰囲気をキープした状態。
これは一種独特なフィーリングとでも言うべきでしょうか。

ブレーキも強大なエンジンパワーに見合ったもので、緩やかに踏み込むだけで「グイッ」と制動力が高まるタイプ。街中で普通に踏み込むとカックンブレーキになるほど強力です。

インテリアで特筆すべきは後席の膝元スペース。かなりの余裕が有り、大柄な筆者でも楽々寛げます。

車両価格への配慮からか、最上級グレードながらもスバルご自慢のEye Sightやアイドルストップが搭載されていないようですが、この辺りはいずれ装備されるものと推測。

総括すると、2.0GT DITは「強心臓を持ったジェントルカー」と言うのが筆者Avantiの感想。

<レガシィ 2.0GT DIT 諸元>
・車両サイズ 全長×全幅×全高:4745×1780×1505mm ホイールベース 2750mm
・駆動方式 フルタイム4WD+CVT  最終減速比:4.111
・サスペンション形式 (前)ストラット (後)ダブルウィッシュボーン
・車両重量 1560kg
・JC08モード燃費 12.4km/L
・車両価格 343万3500円
・備考 1.9%ローン開催中。(7/1成約までの限定)

■レガシィ 2.0GT DIT(富士重工業)
http://www.subaru.jp/legacy/dit/

■名古屋スバル自動車株式会社(取材協力)
http://www.nagoya-subaru.co.jp/

 (Avanti Yasunori

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この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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