登場当初からNAでの販売しか考えていないとされていたトヨタ86とBRZ。
しかし、トヨタ86のコンセプトモデルGRMN SPORTS FR Conceptが披露され、ターボとスーパーチャージャーの2つを搭載するツインチャージャーを装備し、話題となっています。
ツインチャージャーは、低回転域を得意とするスーパーチャージャーと、中回転域以降を得意とするターボチャージャーを組み合わせたシステムで、過給機のそれぞれの弱点を補ったシステムです。
ご存知の方もも多いと思いますが、今から23年前に国産市販車でもツインチャージャーを搭載したモデルが存在しました。
その名もマーチスーパーターボ。
K10型マーチの競技用モデル、マーチRに搭載されていたMA09ERTを搭載し、ロードゴーイングバージョンに仕立てたクルマがマーチスーパーターボ。
他のK10型マーチに搭載されるMA10系エンジンが987ccだったのに対し、スーパーターボのMA09は930ccでした。
MA09ERTエンジンは最高出力110ps/6400rpm、最大トルク13.3Kgm/4800rpm、1000cc足らずのエンジンに強力なパワーで、全日本ラリー選手権でも大活躍しました。
マーチスーパーターボはロードバージョンとしてATもラインナップされていましたが、3速ATは、スポーツ走行には不向きで、購入者の殆どは5MTを選択していました。
ミッションの他に大きな問題はその複雑なエンジン機構故に、エンジンルームのスペースが足らず、パワーステアリングが装着されていなかった事が挙げられます。
ロードバージョンでありながらパワステ無しで車重に対して大きいトルクと馬力により、ステアフィールは慣れが必要なほどトルクステアが強かったそうです。
ハードなサスペンションセッティングも相まって、かなりスパルタンなクルマだったようです。
その分隠れ名車としてファンも多く、今でも大事に乗られているオーナーの方も多いそうです。
ちなみに国産のツインチャージシステムを採用するクルマはマーチのみですが、輸入車で言えばランチア・デルタS4やフォルクスワーゲンのTSIモデル(ゴルフ・ゴルフトゥーラン・ジェッタ・シロッコ)にも搭載されています。
マーチスーパーターボのツインチャージャーを体感する事は今や難しいかもしれませんが、86のツインチャージモデルが市販されれば試乗できるチャンスがあるかもしれませんね。
(井元 貴幸)