一年間で1000リットルもの燃料を節約できる新型車をメルセデス・ベンツが開発したということです。といっても、乗用車ではなく連結バスの話。メルセデス・ベンツ Citaro が欧州排ガス基準のユーロ VIに適合した上に、省燃費性能を高めたとのことです。
排ガスのクリーン化と省燃費性能はイコールというイメージもありますが、いまや排ガスをきれいにすると燃費にはマイナスという時代。メルセデス・ベンツによればユーロVIをクリアするには燃費が悪化する傾向にあるということ。そこで、この最新バスに様々な省燃費技術を投入したといいます。
たとえば、乗用車ではおなじみとなっているエネルギー回生タイプのオルタネーターを採用、また、バスの乗降性を高めるために停止するたびに車高を上げ下げすることは燃費にマイナスなので、ドアを低くつけることで、そうしたエネルギーの消費を抑えているといいます。
もちろんエンジンの改良も見逃せません。排気量7.7、10.7リッターの直列6気筒ディーゼルエンジンの最高出力は220、290kWということですが、ディーゼルエンジンとしては世界初となる可変排気カムを備えているということです。また燃料噴射圧は2400barと非常に高くなっているのも特徴です。
排気の後処理では、メルセデス・ベンツの定番手法といえるアドブルー(尿素水)とパティキュレートフィルターによってユーロVIをクリアしているとのこと。そうした複雑な排気クリーン化システムを収めるためにテールデザインを変更しているほか、ルーフをFRPとするなどボディの軽量化も図っているといいます。
こうした工夫と努力によって燃料消費量を3~5%程度低減し、バスの運用を考慮すると、年間で1000リットルに相当するというわけです。
(山本晋也)