IRCに参戦するインプレッサ、グループR4仕様。
FIA(世界自動車連盟)のR4規定では冷却性能の向上と軽量化、サスペンション性能の向上が認められていて、そのためのキットパーツをSTIが開発しました。
冷却性能向上策のひとつとして、ボンネットにはエアアウトレットが設けられました。
規定では200㎠の穴が2箇所開けることができますが、風洞試験や流体力学(CFD)解析を通じて最適な場所に開口部を設け、そのためのグリルフードをキットパーツとして用意しました。
このエアアウトレットと後述するボンネットインナーの切除などの効果で吸気温度を10℃ぐらい下げることができ、スペシャルステージスタート直後はグループNマシンよりも1kmあたり1秒のタイム短縮を実現しました。
軽量化策としては外板パーツのインナーパネルを可能な限り除去した上で、酸のプールにつける電解研磨を行った上にポリッシュ研磨でアウターパネルを薄板化しています。
その結果、 フロントボンネットは15.850kgから7.05kg軽量化して8.8kgとなりました。
フロントドア本体は15.1kgから8.2kgの軽量化で11kgとなり、リアドア本体は11.450kgから5.86kg軽くなり5.59kgになっています。
サイドウインドウもガラスからポリカーボネートのキットパーツに交換可能です。
フロントサイドウインドウは2.659kgから1.12kg軽量化して1.540kgとなりました。
リアサイドウインドウは2.223kgから0.97kg軽くなって1.256kgとなり、リアクォーターウインドウもわずか035kgの軽量化ですが、0.784kgから0.432kgになっています。
リアゲート本体は11.350kgから4.8kgと実に半分以上の6.55kgも軽くなりました。
リアゲートガラスも5.570kgから2.24kgも軽くなって3.33kgに。リアゲート部分の軽量化は大きいですね。
リアサブフレームも24.090kgから19.580kgと4.51kgと軽量化されました。
フロントバンパービームは4.850kgから2.59kg軽くなって2.260kgに。
そしてヒーターの軽量化がかなり効いていて7.122kgから1.8kgと実に5.3kgも軽くなりました。
ヒーターと言えばウインドウスクリーンもヒーター入りのキットパーツが用意されました。
これらのキットパーツによってトータル重量は53.05kgも軽量化を果たしました。チリも積もれば山となるとは良く言ったものですが、女性の平均体重分ぐらいのダイエットを実現しているというワケですね。
こういった地道な軽量化に加えて、各チーム単位でのパーツの軽量化などによって実車レベルでは70〜80kgの軽量化を果たせているとのこと。こうなってくるとまったく別の車のような動きをすることでしょう。
(ぬまっち)
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