「サウンドクリエーター」が解決した、トヨタ86の課題とは?

以前にトヨタ86スバルBRZを試乗した際に面白いなと思ったのが「サウンドクリエーター」という装置。
加速時のエンジンサウンドを強調して車室内に導いているとの事ですが、確かにドライバーを「その気」にさせてくれる有効なアイテムと感じました。

そこで、この装置について調べてみる事に。
まず搭載位置ですが、画像を御覧下さい。

エンジンルーム内の車両前方にあるエアクリーナからインテークマニホールドへ向かう吸気経路上で分岐された配管の途中に有る黒い円筒状の物がそれです。

そもそも「サウンドクリエーター」は(株)マーレ フィルターシステムズの登録商標で、特許も出願されています。それによると、円筒内にアコーディオンのようなベローズ状のダイアフラムが入っており、これが吸気脈動を拡大して車室内に送り届ける仕組みになっているようです。

トヨタ86のサウンドクリエーター解説

何だか昔の蓄音機のピックアップみたいですね。
300~400Hz辺りを強調して吸気音に「拡がり感」を与えるように設計されているようで、一説によるとエンジン回転数が3500rpm~5000rpmの辺りで共鳴するようにしてあるとか。

つまり街中での通常走行時には効果は少なく、アクセルを踏み込んだ際に効果が最大になるよう設定されている訳です。 ちなみにその効果はこちらの試乗動画で聞けます。

[youtube width=”560″ height=”335″]http://www.youtube.com/watch?v=dmDfNxnLD5A

更に調べてみると、マツダのロードスター(マイチェン後のNC)にも同様な装置が搭載されており、やはりマーレ社と共同開発されたもので、マツダではこれを「ISE(インダクション・サウンド・エンハンサー)」と呼んでいます。

車外騒音規制をクリアさせようとするとマフラーから一番気持ちの良い周波数帯域の音が出せない・・・、と悩んだ当時のマツダの開発部門が苦肉の策でこの「ISE」を搭載。
エンジンの吸気サウンドを室内に引き込むことにより、エキゾーストサウンドとミックスさせていたのです。

[youtube width=”560″ height=”335″]http://www.youtube.com/watch?v=ua9Rsfivt2M

トヨタが久々のスポーツカーを開発するにあたって、マツダのスポーツカーに学んだ点が多かった事は既に知られていることですが、こんなところにも接点があったとは……

やはりスポーツカーは「音が命」といった側面があるので、「車外騒音」の克服はカーメーカー共通の課題といえそうです。

[関連リンク]
トヨタ86 ソーシャルカタログ http://toyota.jp/86/001_p_001/dynamism/transmission/index.html
マーレフィルターシステムズ http://www.jp.mahle.com/MAHLE_japan/jp/Home_JP

Avanti Yasunori

【写真・動画をすべてご覧になりたい方はこちら】https://clicccar.com/?p=135260

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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