すべて本の開発ストーリーの集合写真に、親指をグイッと立てた「グッジョブ・マン」を見つけました。スバルBRZでもそうでしたが、どうにも気になっちゃう性分なんですよ〜。
トヨタ86の「グッジョブ・マン」は、エクステリアまとめ役の古川さんでした。 「水平対抗とFRというレイアウトを活かしながら、最先端の技術で普遍的な機能美を創出していこう!」という旗印を掲げて取り組んだそうです。そして「水平対抗エンジン+FR」レイアウトを普遍的な機能美で表現するキーワードは「低く・楽しく・美しく!」です。
3つのデザイン案を見てみると、低重心を強調した86風だけでなく、ノスタルジックなトヨタ2000GT風や、07年ショーモデルだった先進的なFT-HS風のデザインがあり、まさに温故知新という印象を受けました。
そういえばプロトタイプのFT-86は、先進的かつシャープなスタイルがカッコ良かった。一方トヨタ86では、リアサイドがトヨタ2000GTを彷彿させるノスタルジックな造形に改まりましたよね。
3つのデザイン案から、低重心や先進性だけでなく伝統を渾然一体に融合したようなデザインになって、存在感を増したように感じました。あらためてデザインの妙を感じた次第です
ところで新型車で最も売れ行きを左右するのは、「デザイン」と言っても過言ではありません。通常は役員の厳しい審査を経て、デザインが決定されます。ところがトヨタ86では、スポーツカーは趣味趣向性が強いからなまじ意見を言われてもまとまらないし、変に取り入れると没個性化してしまうため、役員のデザイン審査をスルーしてしまったとのこと。デザインは開発責任者の多田さんに一任して貰ったそうです。さすがに最終的には、モリゾウ社長の承認をもって決めたそうですが、古川さんもデザイン陣も大いに燃えたでしょうね、きっと。
後世に名を残す名車は、すべからく時代を超越した「機能美」をまとっていますよね。トヨタ86からは、紛れもなく「機能美のオーラ」と「グッジョブ・オーラ」を感じています。
(ボンネットの低さとリアサイドのくびれがたまらないッス@拓波幸としひろ)