ダンロップのDIREZZAは、サーキットのスポーツ走行でラップタイム短縮を狙うタイヤだ。新しいDIREZZA ZⅡは、これまでより1秒速くなる、というのが謳い文句のストリートラジアルである。
トレッドパターンを見れば、すぐにサーキット用タイヤということが理解できるだろう。縦方向にも横方向にも強いグリップを発揮しそうな、しっかりとしていかにも剛性が高そうなデザインである。もちろん一般道もそのまま走るから、センターには2本の太いグルーブを設けることによってハイドロプレーン現象を起きにくくしている。
これまでのZ1スタースペックと比べると、シー・ランド比のランドを2.5%アップして接地面積を拡大した。ゴムの摩擦力は接触面積に比例するから、接地面積が広いほどグリップは向上する。さらにショルダー部の横に貫通しているスリットや縦方向のグルーブを無くしたことで、パターン剛性は相当上がっているはずだ。これはサーキットで攻めた走りをしても、ブロックがよれることによりグリップ限界に達してしまうことを防いでくれるだろう。
サーキット走行用タイヤということで、おもしろい仕掛けがしてあった。センターリブ上に摩耗の目安になる3種類の凹みを周上に4カ所設けてある。この3種類の凹みはそれぞれ深さが異なる。一番浅いのは1.5mm、二番目は3.0mm、三番目は4.5mmである。つまりこのタイヤの新品時の溝深さは約7mmというから、最初の一つが見えなくなったら、1.5mm減って残りは5.5mm。二個見えなくなったら3.0mm減って残り4.0mm。3個とも見えなくなったら4.5mm減って残りは2.5mmという目安になるだろう。車検が通らなくなる通常のウエアインジケーターが出た状態は、残りが1.6mmだから5.4mm減ったことになる。
通常この手のタイヤは少し摩耗した状態の方が、ブロック剛性が上がってグリップアップするから、この3種類の摩耗チェック用の凹みはサーキットでは重要な役目を果たすだろう。
(菰田 潔)
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